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<ユニセフ・フレンドネーションのチャレンジ型プロジェクト>で募金活動をしています。詳細は、上の[リーディングマラソン for チルドレンのページ]をクリックしてください。

2021年8月29日日曜日

ユニセフ・フレンドネーション88週間100,000ページのチャレンジ

  中学1年生の2019年11月末、緒方貞子さんと中村哲さんの追悼ドキュメンタリーをきっかけにこのプロジェクトを始めました。私自身、口で言うだけでなく実際に何かできることをしたいと思いました。世界中には私と同世代の子どもたちが貧困問題に直面しています。プロジェクトを始めたときは「同じ世界を共有している私ちと同じ世代の子どもたち、彼女たちが日々の食べ物に困っている、その事実の中で今、ここで、自分に何ができるかを考えて行動したい」という気持ちでいっぱいでした。いろいろ調べている中で、ユニセフのフレンドネーションに出会いました。どんなチャレンジをしているのか見てみると、マラソンを実行して、それを皆さんに応援してもらう形のプロジェクトがいくつかありました。
 わたしの場合、平日は学校の寄宿舎で生活をしているのでマラソンを継続的にするような自由時間が限られています。やっぱり、自分には無理かな・・・と思いました。でも、そこであきらめず考えたのが、読書を走るマラソンのように続けてみるのはどうだろう、というアイデアです。読書、リーディングだったら、寄宿舎生活でも時間を見つけて続けられますし、支援しようと思う世界の子どもたちのことや社会のことをもっともっと知ることができると思いました。
 そして、88週間、616日、約1年半目標に向かって週に1,000ページずつコツコツと取り組んで100,000ページのリーディング・マラソンをゴールすることができて、喜びと達成感でいっぱいです。目標に達するまでは「本当に終わるのか」「はやく寄付したい」などの不安な気持ちも時々ありました。試験勉強やクラブ活動などの学校行事、寄宿舎での役割など忙しい時や体調を崩したときなどゴールまでの道のりで大変な時期もありました。日曜日に書き終えられず、月・火曜日までかかってしまうこともありましたが、最後まであきらめずに自分で立ち上げたプロジェクトをやりきったことで、努力すれば自分の成長にも自信にもつながることを実感することができました。毎週1,000ページの本を読み感想を書いたことで、今まで読んだことのないジャンルの本に出会え、文章を書くということに対しての自信が少しつきました。また、この活動を通して、直接目の前にいるわけではないけれど、世界のどこかで困っている子どもたちがいる、少しでも役に立てているかもしれない」と自分の行動に自信もつきました。最後までやりきることができ少しでも多くの子供たちの力になれたらなと思っています。
 日本は世界と比べると治安も衣食住も整っておりしっかりと生活できている人が多いです。私も不自由なく生活ができています。しかし、一歩外へ出ると、日本においても同世代の子が学校に行かずに働いていたり日々の生活に困っていたり、いじめに悩んでいたりしています。生まれたところが違うだけで貧しい生活を送っている子供たちがいる。このような理不尽な世の中で、何もしないのは、それは見て見ぬふりをしていることと変わらないのではないか、と私は思いました。
 私のチャレンジを応援、支援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。とても励みになりました。応援に応えることができてホッとしています。そして、ユニセフのみなさま、この機会を与えてくださったことに心から感謝いたします。いつか私もユニセフの仕事に関わり世界の子どもたちに直接会ってみたいです。
 チャレンジのきっかけとなった緒方貞子さん、中村哲さんは日本国内にとどまらず、貧しい暮らしをしている人々や、戦争などによい住む土地を追われている人たちのために一生を捧げました。私はまだ緒方貞子さんや中村哲さんのようなことはできませんが、想像力を働かせて今、ここで、自分ができることをコツコツと実行し、未来につなげていきたいです。

2021年8月22日日曜日

リーディングマラソン for チルドレン!

前週、88週目;菅谷 昭「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」、菅谷 昭「チェルノブイリ いのちの記録」、立石 雅昭、にいがた自治体研究所編 「原発再稼働と自治体ー民意が動かす『3つの検証』」、古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金「放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策」、高橋 毅「図解 次世代火力発電-環境性・経済性を両立する実用化への道」、福島原発事故独立検証委員会「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」、清水 修二「原発とは結局なんだったのかーいま福島で生きる意味」、茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 1」「茨木のり子集 言の葉 2」「茨木のり子集 言の葉 3」の計2,524ページ、88週目までの累計は100,779ページです。
 
 菅谷 昭「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」、1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原子力発電所事故により汚染された土地では小児甲状腺ガンが増えつづけていました。この本の著者である甲状腺専門医の菅谷昭医師は現地の状況を知り、ベラルーシで暮らしはじめます。そこで著者が出会ったのは放射能や病気へ不安を抱えながらも、自分の命を大切にして希望を胸に精一杯生きているこどもたちでした。一番の被害にあっているのは、一部の大人の事情で原子力発電所が作られ事故が起き住む場所を奪われた市民の未来を担う子供たちだと思います。それでも、弱音を吐かずに一生懸命生きている姿にとても感動しました。大人の勝手な事情によって子供たちの夢や希望を奪わないでほしいと強く思いました。

 菅谷 昭「チェルノブイリ いのちの記録」チェルノブイリ原発事故の放射線は甲状腺ガンという病気を近隣国のベラルーシの子どもたちにもたらします。著者の菅谷昭医師は被災地で約5年半にわたり医療支援を続けてきました。高汚染された土地、汚染された土地にある病院、手術、治安問題のなど病気以外の様々な問題にも直面します。現地へ行く日から帰国するまでの活動を記録した貴重な日記でした。過去の過ちから学ぶこと、それが、今を、そして未来を生きる人間が、その過ちによって犠牲になった人々に対してできることだと思います。そのためには「記録」が必要です。何があったのか、その時、人は何を考え、どう行動したのか。そこからしか出発できないように思います。そういう意味で、菅谷さんのチェルノブイリでの活動日記は、東日本大震災に伴う原発事故を経験し、今現在も、そして未来もその過ちに向き合わなければいけない私たちにとって貴重な記録だと思います。

 立石 雅昭、にいがた自治体研究所編 「原発再稼働と自治体ー民意が動かす『3つの検証』」は本の題名のように原子力発電所の再稼働に対して自治体がどのような対応をしたのかが図などを使って詳しく書いてありました。再稼働にも賛否両論がかなり分かれます。原子力発電所を早く再稼働させないとそこで働いていた従業員などが大変だ。という主張や東日本大震災を教訓に再稼働させるべきではないという主張など様々です。確かに、原子力発電所によってこれまでの生活が潤っていた人々にとっては苦しいところですが、事故がもたらす被害を考えたら再稼働するべきではないと思いました。そのためにも、原子力発電所に変わった電力で生活できるように、ほかの発電所を強化する必要があるとも考えました。

 古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金「放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策」はもし東海地震が起きたら…という設定で放射線と原子力発電所の危険性について説明していました。東海地震では首都圏にいる人が亡くなることはほとんどないというのが政府の予測です。しかし、それはあくまでも地震のみの場合です。静岡県にある浜岡原子力発電所(先日、現地を訪問しました)から放射線が漏れた場合、数時間から数日後までに首都圏の人は移住しなければならなくなります。浜岡原子力発電所から約200㎞風下に首都圏が位置しています。大きな事故は起きないと予測はしていてもそれを上回る被害が出ることも十分に考えられます。何が起こるのかは、その時にならないとわからないのです。そんな自然災害の多い日本に原子力発電所という一歩間違えると大事故になりかねないような危険なものを置いているのは、とても危ないことだと改めて感じました。

 高橋 毅「図解 次世代火力発電-環境性・経済性を両立する実用化への道」は原子力発電所に変わる発電所はないのかと思い手に取ってみました。火力発電にも石油・天然ガス・石炭といろいろ種類があります。石油のメリットは電気の需要の急な変化にも対応できることです。しかし、CO₂をたくさん出してしまうなどの問題があります。天然ガスは安定して電気を作ることができます。また、CO₂の出す量も少ないです。しかし、生産国が偏っているため価格などが大きく変動する恐れがあります。石炭は世界に広く分布しているため偏らず、大量の電気を安定して作ることができます。しかし、CO₂をたくさん出してしまったり、硫黄酸化物なども出してしまします。このように、メリットとデメリットはどんなものにでもあります。それを、それぞれの発電所が補っていくことも大切だと学びました。

 福島原発事故独立検証委員会「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」東日本大震災から約1年がたった2012年2月28日に「福島原発事故独立検証委員会」は独自に調査や検証を進めていた福島第一原子力発電所事故について「調査・検証報告書」を発表しました。作業員の方のプロローグ、事故被害の経緯、対応、分析など、とても詳しくまとめられてありました。独自に調査してきたからこそ「国民の視点からの検証」をすることができたんだと思います。私たちのあまり知らなかった当時の状況について理解することができました。

 清水 修二「原発とは結局なんだったのかーいま福島で生きる意味」福島は事故により自然や人の心が大きく傷ついています。3.11の事故の以前から原子力発電所に対して反対をし続けてきた福島の論客が、ボロボロになった地域社会や産業などひどい有様を訴えます。原子力発電所事故は取り返しのつかない被害や一生癒えることのない傷を負わせました。将来また人々や地域から未来を奪ってしまうようなことが二度と起こらないようにみんなで声を上げることが大切だと思いました。

 
 茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 1」私が一番好きな詩はP92かあの「私が一番きれいだったとき」です。この詩には「私が一番きれいだったとき」という明るいという表現が何度も出てきますが、そのあとには必ず戦争による悲しい表現が出てきます。
第7連の
「私が一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった」
などこの詩には戦争によって若いときに苦労した茨木さんの当時の悔しい気持ちが表現されていると思います。しかし、最後の連で
「だから決めた できれば長生きすることに」
という茨木さんの前向きな気持ちも表現されていました。「わたし」という誰にでも当てはまる表現をしていることから、茨木さんだけでなく同世代の人たちもこのような感情を戦後抱いていたのではないかと思いました

 茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 2」私が一番好きな詩はP94「友人」です。この詩は散文詩で書かれてありました。この詩には「友人に多くを期待しなかったら裏切られた!と叫ぶこともない」「たまに会って うっふっふと笑いあえたらそれで法外の喜び」という表現が出てきます。友人関係もめることは度々ありますが、程よい距離も大切だということを感じました。逆に、トラブルを通して仲が深まるときもあると思いました。浅い表面だけの友情ではなく深い友情を築きたいと思います。

 茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 3」私が一番好きな詩はP121の「草」です。初めの15連に草の付く熟語や漢字が32個書いてありました。草の付く文字を書き出してみると、日常の様子や疲れも見えたり見えなくなったりしてくるような感じがします。また、「草」は植物なので自然な感じや日本の文化も何となく感じることのできる言葉だなと思いました。

2021年8月15日日曜日

88週目:8月16日~8月22日のリーディングマラソン予定

前週、87週目;船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」、有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」、井上 靖「敦煌」、星 新一「妄想銀行」の計1,455ページ、87週目までの累計は98,255ページです。
 
 船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」。先週読んだ(上)の続きです。私が一番心に残った章は第21章です。この章の吉田所長のことばが印象的でした。初め吉田所長とともに働いていたのは約700人弱いました。私はこの人数の多さに驚きました。なんて勇気があるのだろう、と思います。3月15日、次々と爆発している福島第一原子力発電所を後に約650人が福島第二原子力発電所に避難します。この時吉田所長とともに現場に残ったのは約60人強。そして最後の最後まで危険な中を共に働いたのは約10人でした。現場にいた何人もの作業員たちはとても危険な中命がけで作業をしているのに、東京電力の上の人たちや政治家は、人の命よりもよりも原子力発電所を守ることを優先しました。3.11後も同じ東北地方や熊本などで大きな地震は何度も起こっているし、予測もされています。それにもかかわらず、原子力発電所をまだ使い続けています。早く原子力発電所に変わるエネルギーを作り私たちが節電を意識するようになってほしいです。

 有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」を読むまで私はCIAという組織についてあまり詳しく知りませでした。またこの本を読んで正力松太郎さんのすごさに驚かされました。戦後アメリカは膨大な軍事力を持ちました。そんなアメリカが日本を利用するのはたしかなことで当時日本のメディアの頂点にいた正力松太郎とは関係を深めていました。逆に正力松太郎はマイクロ派通信網構想を実現するべく総理の座を狙っていました。そこで自分のメディアの力を使いアメリカが主張をしている「原子力平和構想」をうまく利用して、国民や政界での支持を高めようとしていました。日本を利用していた大国アメリカを逆に利用していたということに驚きました。CIAも正力松太郎もどりらもお互いを利用しあっていたのです。この本で大人の駆け引きの様子を見てしまったような気持ちになりました。

 井上 靖「敦煌」は映画にもなった井上靖の名作です。舞台は1026の宋の時代です。主人公は進士の試験を受けるために湖南からやってきた行徳という男です。行徳は最終試験で寝てしまい落ち込んでいた時、罪を犯した女の肉が売られようとしているのを見つけます。とっさにその女を買い逃がしてあげました。その女から行徳はお礼に小さな布切れをもらいます。その布切れには、異様な形の文字のようなものが、十個ずつ三列にしたようなものが書かれてありました。女も読むことはできませんでしたが、この布切れがないと西夏は入れないのです。こうして行徳は西夏に向かいます。西夏に向かう途中もそのあとも行徳は戦乱の世に巻き込まれていきます…。20世紀になり西夏との戦いで滅んだ敦煌の万巻の経典が洞窟の中から見つかります。行徳は井上靖が考え出した架空の人物ですが、行徳のように戦乱から貴重な書物を守るために行動した人が当時もいたということがこの本を通して伝わりました。少し古いですが、映画も見たいです。

 星新一「妄想銀行」は短編集でした。私が一番面白いと思った物語はP19「あるスパイの物語」です。この物語の主人公エヌ氏はスパイです。エヌ氏はある日R国内に潜入しそこの同士に大至急書類を届けてほしいと言ってマイクロフィルムを渡しました。ここで上司が万が一落とさないようにとエヌ氏の腕にマイクロフィルムを入れ込む手術を、傷口にばんそうこうを張るくらいのノリで行ったことに笑ってしまいました。上司に合言葉は「気はたしかか?」「一進一退といったところですよ」と答えるように言われエヌ氏はR国へ向かいました。しかし、到着したと同時に捕まってしまいます。そこで、普通なら耐えられない程の取り調べを受けますが、エヌ氏は訓練をしているため一向に口を開きませんでした。するとそんなエヌ氏に「気はたしかか?」と相手は言います。それにつられエヌ氏は「一進一退といったところですよ」と反射的に答えてしまいます。実はこの取り調べをしている人たちが同士で、エヌ氏の口の堅さを試していたのです。いろいろ突っ込みどころがあって面白い物語でしたが、この話の流れが凄くスムーズかつわくわくさがあり星新一さんはすごいなと改めて感じました。

88週目:8月16日~8月22日は次の本(計2,524ページ)でリーディングマラソンの予定です。

・菅谷 昭「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」(ポプラ社)P127
・菅谷 昭「チェルノブイリ いのちの記録」(晶文社)P265
・立石 雅昭、にいがた自治体研究所編 「原発再稼働と自治体ー民意が動かす『3つの検証』(自治体研究社)P138
・古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金「放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策」(三五館)P127
・高橋 毅「図解 次世代火力発電-環境性・経済性を両立する実用化への道」(日刊工業新聞社)P180
・福島原発事故独立検証委員会「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)P412
・清水 修二「原発とは結局なんだったのかーいま福島で生きる意味」(東京新聞出版局)P224
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 1」(ちくま文庫)P397
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 2」(ちくま文庫)P407
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 3」(ちくま文庫)P247

2021年8月8日日曜日

87週目:8月9日~8月15日のリーディングマラソン予定

前週、86週目;上田 昌文「原子力と原発きほんのき」、吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」、うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」、田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」、山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」、後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」、西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」、ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」、池内 了「娘と話す 原発ってなに?」、船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」の計1,234ページ、86週目までの累計は96,800ページです。

 上田 昌文「原子力と原発きほんのき」は原発の仕組みや歴史などが分かりやすく簡単にまとめられた本でした。『P19:日本が目指す「核燃料サイクル」とは』日本は燃料であるウランを燃やしエネルギーを得て使用済み核燃料を保管するのではなく、使用済み核燃料からさらにまだ使えるウランや新たに出てきたプルトニウムを再利用するという少し変わった方法をとっています。〈日本は資源の少ない国でウランを100%輸入しているためエネルギーを目立たせたい。またプルトニウムは核物質なので平和利用を前提としている日本は他国から怪しまれてしまうため高速増殖炉の燃料として使っている〉これが政府の主張です。しかし、再利用できるプルトニウムは95~97%です。この数字を見ると多く感じるかもしれません。しかし残りの3から5%に視点を置いて考えてみると地球や生命に大きな悪影響を与えているということが分かりました。

 吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」では、初めに書いてあった「全原発が停止しても問題は何も起きなかった」が印象に残りました。2012年5月5日にすべての原発が停止しました。事故以降新聞やテレビなどで〈電気が足りない、このままでは日本経済は大変なことになる〉というキャンペーンが何度も繰り返されてきました。しかし大変な問題は起こりませんでした。この本には『一人一人が、そして一つ一つの企業が地道に節電に取り組めば、一歩間違えば取り返しのつかない危険な原発をあえて稼働させなくても、全く問題は生じない』ということが証明されたと書かれてありました。このことを心にとめて国民全員が意識して節電に取り組む必要があると思いました。

 うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」は、放射能の危険性を文章のような詩のような形式で表された本でした。原発で働いている人、その家族、地域の人、生き物たち…の嘆きの声がとても悲痛に描写されていて、放射線による暗い未来を鮮明に思い浮かんできました。

 
 
 田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」、この本の著者は東京新聞の特別報道部で働いている方です。当時の新聞記事やマスコミの様子などが細かく説明されてありました。現場にいた人しか感じられたいことがたくさん書いてありわかりやすかったです。

 
 
 山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」には福島第一原発事故当時の現場の様子が図などを使って細かく説明してありました。P41に小田実さんという作家の方の話が書かれてありました。小田さんは亡くなられる前に急に食べることができなくなりあっという間に亡くなられたそうです。診断は胃癌でしたが、おつれあいの玄順恵さんによると小田さんはビキニ核実験場やセミパラチンスクノ核実験の場にも何度も行かれたそうです。この放射能による外部被爆と内部被爆がすこしでも影響していると考えられます。このように、人体に大きな影響を与えなくても少量の物がのちのち害になるときもあるということを学びました。

 後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」の著者は元原子力プラント設計技術者の方です。実際に原子力発電所を設計していた人だからこその考えが書かれていました。著者はもともと船の技術者でしたが船の設計の仕事がなくなり、東芝が原子力部門の技術者を募集していたことから原子力に関わる仕事をすることになります。著者は最後に『最悪の事故が起こったら、被害の規模が今回よりももっとはるかに桁違いに大きくなるのは明らかです。早急に脱原発する必要がある』と言っています。原子力に関わる仕事をしていた人が身をもって原子力の危険さを実感しているのです。このような人たちの意見をしっかりと聞いて原子力に代わるものの準備をしていかないといけないと思いました。

 西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」では、この本を通して特定秘密保護法というものを改めて詳しく知りました。本の中にこの特定秘密保護法の原文や資料が沢山載っておりわかりやすかったです。ページ数は少ないですが原子力のことで今まで隠されてきたことなどもぎっしり書いてありました。また再読したいと思います。

 
 ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」の著者は2007年に『すべての「核」に対して「NO」というために』活動する非営利団体NO NUKES MORE HEARTS」を立ち上げたイラストレーターです。原発問題への関心が低い人にも目を向けてもらえるようなデザインのロゴマークやチラシを作ったそうですがなかなか広がりませんでした。そんな矢先、福島第一原発事故が起きてしまいました。しかし、この事故によって著者の考えていた反原発活動を行う人たちが急増したそうです。私もこの団体のことを初めて知りました。これから先、もっと広まっていってほしいと思います。

 池内 了「娘と話す 原発ってなに?」は先週読みとても分かりやすくとても面白かったので再度読み直しました。父親と娘が原発について質疑応答形式で会話しています。教科書のように図や表が載ってあり、下には難しい単語の意味が書いてありました。チェルノブイリの話が印象的でした。チェルノブイリから25年(現在は33年)経つのにまだ立ち入りの地域があります。そのチェルノブイリと同じくらい、それよりも大きな事故だった3.11。立ち入り地域が完全にな
くなるには何年かかるのか…。元通りの生活に一刻も早く近づけるように、何かできることはないか考えたいです。

 船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」は2011年3月11日当日に福島原子力発電所の現場で起きていたことをもとに書かれたドキュメントのような本でした。時刻まで細かく描かれておりドキドキハラハラがすごかったです。まだ上ですが、当時の深刻さ、現場の焦り、地震・津波のすさまじさが伝わってきました。下巻へと続きがどうなるのか読み始めると目が離せない本です。
 
 
 
87週目:8月9日~8月15日は次の本(計1,455ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」(文藝春秋)P528
・有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」(新潮新書)P255
・井上 靖「敦煌」(新潮文庫)P320
・星 新一「妄想銀行」(新潮文庫)P352

2021年8月1日日曜日

86週目:8月2日~8月8日のリーディングマラソン予定

前週、85週目;田口 理穂「市民がつくった電力会社―ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命」、池内 了「娘と話す 原発ってなに? 」、朝日新聞科学医療グループ「『震度6強』が原発を襲った」、立石雅昭「地震列島日本の原発―柏崎刈羽と福島事故の教訓 」、みんなのデータサイトマップ集編集チーム 「図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集: 2011年のあの時・いま・未来を知る 」の計1,036ージ、85週目までの累計は95,566ページです。

 田口 理穂「市民がつくった電力会社―イツ・シェーナウの草の根エネルギー革命」はドイツで起きた実話について書かれていました。3.11の東日本大震災後、ドイツでは何十万人もの市民が参加し反原発デモ起こります。このことにより、政府は2022年までに脱原発を決定しました。そこから市民は原子力に代わるシェーナウ電力会社を立ち上げます。この電力会社を立ち上げるまでの道のりがこの本には書かれてありました。私が一番惹かれた言葉はP111の「間違ったことには声を上げていく」です。市民が原子力の危険さを理解し声を上げて変えようとすること、そして自ら電力会社を立ち上げるという行動力に感心しました。これが「真の民主主義のかたち」だと思いました。日本は東日本大震災を経験して原子力の危険さを身をもって実感しているはずなのに、なぜ再稼働をし始めているのかがとても不思議になりました。

 池内 了「娘と話す 原発ってなに?」は、娘と父が質疑応答の形式で原子力発電所について説明しているように書いてありました。P119からの原発が抱えている問題点って?に書いてあった原子力発電所のメリットでした。それは原発による電気の値段が安いことです。私は「原子力発電所に変わる発電所をなぜ利用しないのか」と度々思っていました。その理由は原子力発電所が1番安いからだと知りました。危険性よりも金銭を優先してしまっていることにとても複雑な気持ちになりました。3.11などの事故を経験した日本は土地のこと人々のことを考えお金より安全性を優先するべきだと思いました。とても面白い内容だったので来週もう一度深く読み込みたいと思います。


 朝日新聞科学医療グループ「『震度6強』が原発を襲った」。私はこの本のタイトルを見たとき東日本大震災についての本だと思いました。しかし、2007年7月16日に起きた新潟中越沖地震と柏崎刈羽原発についての本でした。この地震直後原発では3号機の変圧器から火災が発生するなどひどい損傷を受けていました。この地震によって柏崎刈羽原発は壊れ停止します。「原子力発電所が壊れる」このことだけでもとても重大な事故だと私は思います。幸いなことに大量放射をして住めなくなるなどの重大なことにはならなかったですが、もし外に漏れていたら・・・と考えるととても恐ろしいです。このようなことがあったにも関わらず、そこから何も学ばず3.11でとてもひどい状態になってしまったということは人災だと思いました。


 立石雅昭「地震列島日本の原発―柏崎刈羽と福島事故の教訓 」も先程の本に出てきた柏崎刈羽原発と福島第一原子力発電所について書かれていました。柏崎刈羽原発の調査に訪れたIAEAは「プラントの安全系の構築物、系統、機器は強い地震動にもかかわらず、予想よりかなり良好じょうきょうにあるようでる」と報告しました。この報告に電力事業者や原子力安全・保安院などは「安全である」というお墨付きをもらったと喜びました。しかし、この報告では「どこに問題がありそこをどう対処するのか」などの細かいことが知らされていなかったため、また事故を起こす可能性は十分にあると思います。一度事故をしたのであれば徹底的に対策をすることが大切だと思います。


 みんなのデータサイトマップ集編集チーム 「図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集: 2011年のあの時・いま・未来を知る 」は原子力発電所のある都道府県別に地形の特徴・放射線による影響・生物への影響などなどが、社会の資料集のように図やグラフを使ってわかりやすくまとめられていました。県全体に少し放射線は漏れているのだろうなとは思っていましたが広範囲に放射線が多く採取されているという結果を見て驚きました。原子力発電所の事故が起きなくても、原子力発電所をその地域に設置するだけでそこの土地は徐々に汚染されてしまうことがとても怖いと感じました。

86週目:8月2日~8月8日は次の本(計1,234ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・上田 昌文「原子力と原発きほんのき」(クレヨンハウス)P64
・吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」(クレヨンハウス)P64
・うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」(クレヨンハウス)P32
・田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」(クレヨンハウス)P64
・山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」(クレヨンハウス)P64
・後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」(クレヨンハウス)P64
・西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」(クレヨンハウス)P48
・ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」(クレヨンハウス)P64
・池内 了「娘と話す 原発ってなに?」(現代企画室) P192
・船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」(文藝春秋)P578

2021年7月25日日曜日

85週目:7月26日~8月1日のリーディングマラソン予定

前週、84週目;江國 香織「号泣する準備はできていた」、辻村 深月「朝が来る」、細田 守「おおかみこどもの雨と雪」、パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢・山川亜希子(翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」の計1,043ージ、84週目までの累計は94,530ページです。

 江國 香織「号泣する準備はできていた」は色々なお話が詰まった短編集でした。その中でも私はタイトルにもなっている「号泣する準備はできていた」が一番おもしろいと思いました。この短編の主人公は「文乃」です。文乃は大学を中退し、その後約10年、アルバイトをしながら世界各国を旅することに情熱を注いでいました。そんな中ノーフォークのパブで隆志に出会い恋愛観家に発展します。しかし、隆志は他の女を作り同棲していた家を出て行ってしまいました。そんな彼女の生活を辿っていくような物語でした。

 辻村 深月「朝が来る」は昨年映画にもなった物語です。主人公の栗原清和・佐都子夫妻は何一つ不自由なく暮らしていましたが子供ができず悩んでいました。そんな夫婦は「ベビーバトン」という特別養子縁組団体あることを知ります。そこで「ひかり」という中学生が妊娠して、堕胎できなかった赤ちゃんを引き取ることになります。それから数年後、ひかりから子供を返してほしい、返せないならお金を渡してほしいという電話が来ます。裏表紙にあるあらすじでこの場面を読んだときには、ひかりという人物に対して少し変わった印象受けましたが、ページをめくり読み進むにつれ彼女への同情と感動の気持ちでいっぱいになりました。人との関わり方、家族の在り方についてとても考える物語でした。映画も一度見てみたいです。

 細田 守「おおかみこどもの雨と雪」は小学校1年生の時に映画で見ました。とても感動したことは覚えていたのですが、少しストーリーを忘れてしまっていたので本で読みなおしました。「おかみおとこ」と大学生の「花」はお互い惹かれあい恋に落ちます。そして「雪」と「雨」の姉弟を授かります。しかし、しばらくしておおかみおとこは車に轢かれて死んでしまいます。女手一つで2人のおおかみ子どもを育てることになった花は様々な苦難を乗り越えていきます。花が学校の友達とけんかをしておおかみの姿になりかけてしまったり、花と雨が大喧嘩をして家を出てってしまったりとハラハラドキドキしました。最後は花は人間として雨はおおかみとして生きる選択をしますが、どこかで3人(動物と人間)はつながっているんだなと感じ感動しました。もう一度映画も見たいです。

 パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢・山川亜希子(翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」は世界中でベストセラーになった物語で、マララさんやオバマさんも愛読している本です。主人公は羊飼いの少年サンチャゴです。ある日、サンチャゴは羊飼いになり広い世界を見られるようになったけれど羊飼いの世界しか知らないことに気づきます。そんな時、エジプトのピラミッドへ行く夢を見ます。その夢を何度も見たサンチャゴは占い師の老女にエ時プロへ実際に行くように勧められます。ここからこの本の物語は始まります。この物語はサンチェゴがエジプトに行くまでを通して今まで知らなかったことを学んでいく様が細かく書かれていたので読者にも学びや教訓が多いと感じました。一番最初に出会った王様とは『人生のすべてには代価が必要だ』ということを学びます。また愛とは何かなど様々な疑問に直面していくサンチョゴの姿が印象的でした。私もサンチョゴのようにいろいろなことに挑戦し学びを広く深められるようになりたいです。

85週目:7月26日~8月1日は次の本(計1,036ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・田口 理穂「市民がつくった電力会社―ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命」(大月書店)P223
・池内 了「娘と話す 原発ってなに? 」(現代企画室)P192
・朝日新聞科学医療グループ「『震度6強』が原発を襲った」(朝日新聞社)P256
・立石雅昭「地震列島日本の原発―柏崎刈羽と福島事故の教訓 」(東洋書店)P165
・みんなのデータサイトマップ集編集チーム 「図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集: 2011年のあの時・いま・未来を知る 」(みんなのデータサイト出版)P200

2021年7月18日日曜日

84週目:7月19日~7月25日のリーディングマラソン予定

前週、83週目;重松 清「その日のまえに」、知念 実希人「祈りのカルテ」、辻村 深月「ハケンアニメ!」の計1,259ージ、83週目までの累計は93,487ページです。

 重松 清「その日のまえに」は7編でなる連作の物語でした。題名の「その日」とは死を表しています。生と死に関係する物語ばかりでとても感動しました。私は『潮騒』という物語が一番感動しました。主人公、佐藤俊治は病院で余命はわずか三ヶ月ということを伝えられます。ずっと行かないようにしていた港西に向かう所から回想のように物語が始まります。なぜ約30年港西に行かなかったのか、それは友人のオカちゃんを海難事故で亡くしたからでした。主人公はこのオカちゃんともう一人の友達の石川との3人の思い出を振り返っていきます。この主人公は残りの90日間を友人との思い出に捧げました。私はこの物語を読みん柄もし自分の命が後3ヵ月だったら何をするのだろうかとふと考えさせられました。人の死について深く考えることのできる物語です。

 知念 実希人「祈りのカルテ」は新米医師の諏訪野良太が臨床研修で訳アリの5人の患者さんに出会って成長していく物語でした。私は一番最後の『胸に嘘を秘めて』が一番好きです。この物語の舞台は循環器内科です。四十住絵理という有名女優がアメリカでの心臓移植手術を待つために諏訪野良太のいる病院にやってきます。有名女優が難病にかかっていることを知られないようにするために徹底的な対策をしていましたがなぜか情報漏れしてしまい事務所の社長が記者会見をすることになります。そこで社長は四十住絵理のアメリカでの手術のために寄付金を国民に呼びかけます。たくさんの批判もある中必要額を大きく上回る寄付金が集まります。諏訪野良太は情報が漏れたことや、必要額が集まってもなお寄付を続けることなどに違和感を覚え本当に心臓移植をする気なのか調べます。すると理恵の言っていたアメリカの病院では海外からの患者の受け入れをしていなかったことが明らかになります。ここまでを物語で読むとマネジャーも理絵も少し怖くウラがありそうな悪いイメージでしたが、マネージャーと理絵の本当の気持ちに最後は感動します。他の4つの物語もとても面白かったのでぜひ読んでみてください。 

 辻村 深月「ハケンアニメ!」はアニメ業界で働く4人の女性についての物語でした。まずハケンアニメとはその期に放映されたアニメの中でパッケージの売り上げが最も大きかった作品のことを表すそうです。すべての章が最終話につながっていますが私はアニメ制作の大手トウケイ動画で働く斎藤瞳が主人公の『女王様と風見鶏』が一番面白かったです。佐藤瞳は超エリート大学法学部を卒業した後アニメ業界でその才能を発揮します。しかし自らが企画したアニメ「サウンドバック 奏の石」なかなか思うようにいかず挫折しかけます。そこでプロデューサーの行城に出会います。アニメ制作には各話の演出や作画の監督、脚本化などなどたくさんの方が関わっているため瞳は何度もぶつかり合います。しかしプロデューサーの行城は「天才肌の斎藤さんには無駄に見えることでも、現場には必要なことってあるんですよ」と毎回フォローをして瞳を支えていきます。物語ですがとてもリアルに描かれていて、読んでいる私まで「どうやったらうまくいくのだろうか」などと実際に現場に携わっている人たちの気持ちになって楽しむことができました。アニメが出来上がるまでの様々な人物関係が描かれている物語でした!!
 
84週目:7月19日~7月25日は次の本(計1,043ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・江國 香織「号泣する準備はできていた」(新潮文庫)P233
・辻村 深月「朝が来る」(文春文庫)P358
・細田 守「おおかみこどもの雨と雪」(角川文庫)P244
・パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢・山川亜希子(翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」(角川文庫)P208

2021年7月11日日曜日

83週目:7月12日~7月18日のリーディングマラソン予定

前週、82週目;金菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」、山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」、安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」、高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」、長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」の計1,104ージ、82週目までの累計は92,228ページです。

 菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」は震災後に地元の方々が体験した不思議な体験談がたくさん紹介されていました。私が特に印象的だったのはタクシーの運転手さんの体験です。タクシーの運転手さんはみんな同じような体験をしています。震災から約半年から1年が経ったある日、遅くに夏なのに冬服を着た人がタクシーに乗ってきます。そして皆タクシーの中か降りた先で幽霊のように消えてしまうのです。しかし、消えてしまってもタクシーの中で会話したり触れたりと、タクシーの運転手さんはこの世にいる人のように接することができています。私はこの体験談を読み、突然の震災で大切な方々から離れなくてはならなくなってしまった大勢の人がこの世にもう一度皆に会うために、お別れを言うために姿を現しているのかなと思いました。また、タクシーの運転手さんも身内を亡くしている方もいて怖がったりせずに身近にいる親しい人のように接していてとても心が温かくなりました。

 山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」は福島第一原子力発電所事故の後に原子力発電所に実際に潜入した著者の体験談でした。また、「福島第一原発」の作業員の方へのインタビューも紹介されていて現場の様子を詳しく知ることができました。私は作業員だった「佐藤功」さんへのインタビューが印象的でした。事故から3日目の14日佐藤さんは社長から「近くの火力発電所で仕事があるから急いでJヴィレッジに来てくれ」と頼まれます。しかし佐藤さんがJヴィレッジについたときに防護服を渡され原子力発電所の仕事で呼ばれたことに気づきました。佐藤さんは奥さんと娘さんがいたのでそんな危険な仕事はできないと断りましたが遠くからわざわざ来たので時給を聞いたところたったの1800円+100円の1900円のみでした。私はこのような現場の話を聞きとても危険な場所にこのようにして数日泊まり込みで働いている方がいることを改めて実感しました。現場で働いている方たちが一番大変な思いをしていることを上の人たちにも実感してもらいたいと思いました。

 安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」では、第3章の「東大文化と東大話法」に書いてあった東大原子力の中期計画が一番印象的でした。事故を起こらないように設計するから事故が起こる可能性があることを前提とした設計と対策が必要になってきます、と原子力御用学者さん等が言っていたそうですが、それはつまり「事故が怒らない設計は無理だとわかっていたので事故が起こっても仕方ない設計で許してね」と言っているのと変わらないと著者は言っていました。私はすごく無責任だなと感じました。原子力という危険なものだとわかっているものを(どうしても)利用するなら上の責任者がもっとしっかりしないとまた同じような悲惨な事故が起こってしまうと思いました。学問や大学の権威を背景に専門家として発言する際に、後から責任を問われないような話し方「話法」、それが「東大話法」なのだと知り、東大の専門家って一体なんなのだろう、と思いました。

 高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」は福島第一原子力発電所事故ではなくそれよりも前に起こった東海村の臨界事故について書いてありました。第3章の「放射能を知らない原子力屋さん」が印象的でした。この章には原子力をやっている人たちの多くがあまり放射能を知らないで原子力にかかわっていると書いてありました。私はとても驚きました。とても危険な物質に関わっている人の中にしっかりとした知識をあまり持っていない方がいるのは危ないと思いました。また関わっている方たちだけでなく私たちも原子力発電所の知識を身に着けて生活をしたいと思いました。

 長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」第一章の「なぜ原子力発電は止まらないのか」がとても興味深かったです。この本では沢山学ぶことがありましたがその中でも驚いたのは地下に非常用発電機を置いていたということです。この設置方法は竜巻などの多いアメリカをそのまま採用したそうです。しかし、日本は地震大国なので海側の地下に設置していたら使い物になりません。アメリカ側の仕様通りに作らないと安全を保障しないと言われたため同じように作ったそうです。アメリカを参考にするのは良いですが環境が全く違うので日本は日本で独自で事故や災害などの対策を取らないと駄目だと思いました。この本は私の副題にしていることなどがそのまま書いてありとてもよい参考文献でした。

83週目:7月12日~7月18日は次の本(計1,259ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・重松 清「その日のまえに」(文春文庫)P365
・知念 実希人「祈りのカルテ」(角川文庫)P272
・辻村 深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス文庫)P622

2021年7月4日日曜日

82週目:7月5日~7月11日のリーディングマラソン予定

前週、81週目;長田弘「長田弘詩集」、大谷美和子「ひかりの季節に」、広瀬隆、明石昇二郎「原発の闇を暴く」、ASIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」、山本義隆「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」の計1,088ージ、81週目までの累計は91,124ページです。

 長田弘「長田弘詩集」私は「花を持って、会いにゆく」という詩が一番印象的で気に入りました。初めの「春の日に、あなたに会いにゆく」や「きれいな水ときれいな花を手に持って」はさわやかな透き通った印象がしました。しかし、だんだんと「歩くことをやめてはじめて知ったことがある」から死の意味に気づいていき少し暗い印象になっていきます。
しかし「死ではなく、その人がじぶんのなかにのこしていったたしかな記憶を、私は信じる。」というように後半はそれでもあなたに会いに行くために再び歩き始めます。
この物語のような詩の流れがとてもすてきだと思いました。また今週読んだ「ひかりの季節に」と少し重なるところがありました。

 大谷美和子「ひかりの季節に」は人の生と死について深く考えられとても感動しました。主人公のみさきはとても仲の良かったいとこ・輝を19歳で亡くします。そんなみさきが心を開いて話せる相手は輝がくれたぬいぐるみのロバートだけでした。そんな心を閉ざしていたみさきですが奥さんを亡くした祖父に出会います。祖父の今までの人生の話を聞いているうちにみさきは明るさを取り戻していきます。長い人生を歩んできた大人なりの生き方と若い子供なりの生き方が生き生きと描かれていたとても良い物語でした。

 広瀬隆、明石昇二郎「原発の闇を暴く」すべて章に参考になることが書いてありましたが第一章の『今ここにある危機』の中に書いてあった「子供たちが被爆している」が印象深かったです。福島第一原発の30キロ圏内に住んでいた人々は大量の放射線に汚染されているにも関わらず事故直後放置されていました。この本には30キロ圏内にいた15歳以下の子供たち約950人に甲状腺の被爆線量を調べた結果がのっていました。「いずれも問題はありませんでした。と発表されましたが数値はどうあれ針が振れるのです」と書いてありました。数値は問題なくても普通検出されない物質が子供の体から検出されていることは恐ろしいと思いました。もし、30キロ圏内の人々をもっと早く非難させていたら被曝量はもっと抑えられるかもしれないとも思いました。子供たちが被曝してしまったのは人災だと思います。

 SIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」第3章『大震災後に広まったデマ・誤信』を詳しく読みました。第3章の一番初めに元東京電力に勤務していた平井憲夫さんが晩年に語った原子力発電所の実情について書いてありました。もともと平井さんは反原発の方ではありませんでしたが、講演録ではこう語っています。「毎日、被爆者を生み、大変な差別を作っているものでもある」また「原発の作業現場は暗くて暑いし、防護マスクもつけていてお互いに話をすることも出来ないような所ですから、身振り手振りなんです」とも書いてあり驚きました。そんなに環境の悪いところで毎日、危険な物質とともに仕事をしていたのです。私はビルの中の仕事のように明るい衛生的なところで作業している様子が頭の中にありました。しかし、実際は暗く話すことも出来ないようなところで作業していたのです。そんなところで毎日仕事をしているので30過ぎたら年間許容線量に達してしまう人も多く、若手を育てることも出来ません。現場で働いている方たちが身をもって一番原子力発電所の危険さに気づき大変な思いをしていることに理不尽さを感じました。

 山本義隆「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」もすべて原子力発電所について研究していく中でとても参考になることばかり書いてありました。とくに第2章の『技術と労働の面からみて』で原子力発電所の未熟さや事故について詳しく知ることができました。私は以前から原子力の開発について知りたかったためこの本を読んでよかったと思いました。「核力のエネルギー実用化は1983年末から翌年にかけて中性子を照射されたウランの核分裂を物理学者が実験室で発見し、その再放出されるエネルギーの巨大さが理論的に評価され、しかも分裂に際して2個以上の中性子が発生することから連鎖反応の可能背が明らかにナットところから始まった」と書いてありました。私はこの約100年前に原子力について研究していた科学者の方はこの原子力発電所の危険性に気づいていたのかどうかがすごく気になりました。

82週目:7月5日~7月11日は次の本(計1,104ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・金菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」(新曜社)P200
・山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」(双葉社)P184
・安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」(明石書店)P276
・高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」(岩波新書)P188
・長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」(岩波新書)P256

2021年6月27日日曜日

81週目:6月28日~7月4日のリーディングマラソン予定

前週、80週目;新潟日報社 特別取材班「原発と地震-柏崎刈羽「震度7」の警告」、鎌田慧「日本の原発危険地帯」、尾池和夫「新版 活動期に入った地震列島」、渡辺勝巳、JAXA宇宙航空研究開発機構「完全図解・宇宙手帳―世界の宇宙開発活動『全記録』」の計1,339ページ、80週目までの累計は90,036ページです。
 
 新潟日報社 特別取材班「原発と地震-柏崎刈羽「震度7」の警告」は東日本大震災ではなくその4年前に起きた新潟県中越沖地震について書いてありました。私は新潟県中越沖地震によって止まった原子力発電の存在は知っていましたが、何故そこに建てられたのか、などの詳しいことは全く知らなかったので、この本から「地震列島」とも呼ばれる日本における原発問題についての考えを深めることができました。ここの原子力発電所もやはりミスや国策などの様々な陰謀が隠されていました。この本では「原子力の問題が難しいのは大事故を起こしたら終わりだからです」と書いてありました。この本が出版された(2009年)の約2年後、東日本大震災により大きな原発事故が起こってしまいました。この本のように以前から原子力発電所の危険について書いてあるものはたくさんありました。それらを無視して経済的利益などのことだけを考えて今このような事になっていると考えるととても悲しくなりました。
 
 
 鎌田慧「日本の原発危険地帯」は本のタイトルどおり日本にある原子力発電所(特に福島第一原子力発電所)についてとても詳しく書いてありました。東日本大震災直後、福島第一原子力発電所は大打撃を受けました。東京電力と日本政府は20kmほどの住民にしか避難勧告を出しませんでした。また、強制ではなく「勧告」という「お勧めの指示」を出し、何かあっても責任をあまり取られないような表現でした。東電と政府は、原発事故によって影響を受ける住民の命よりも自分たちの立場や組織内での見栄を優先しました。そのため、避難対象になっていない40キロ圏内の汚染は、避難基準の2倍に達している状況になってしまいました。しかも、避難勧告のだされている20キロ圏内には亡くなった方のご遺体も放置されたままでした。これは本の冒頭部分に書かれている表現でしたが、その後も強く印象に残りました。地震が起きて原発大事故がおこってしまった。それも罪を問わなければならないことですが更にこの上の指示、態度は酷いと感じました。
 
 尾池和夫「新版 活動期に入った地震列島」は震災を軽減するために何が必要かについて書いてありました。地震にも様々な規則や種類があり、「都市直下型地震」は読んでいてとても怖いと感じました。阪神・淡路大震災はこの直下型地震でした。自身の揺れを体験出来る車で阪神・淡路大震災で体験したことがありますが、横ではなく思いっきり縦に揺れるので振動が凄かったです。椅子に座っていても机にしがみつかないと落ちてしまうような状態でした。これからも日本では地震が度々起こると思います。その時に最低限のことはしっかりと対策できるように日頃から意識し生活したいです。

  渡辺勝巳、JAXA宇宙航空研究開発機構「完全図解・宇宙手帳―世界の宇宙開発活動『全記録』」は、中学1年の時の研究以来に手に取りました。「宇宙手帳」という名の通り宇宙のこと(特にロケット)について詳しく図鑑のように書いてありました。授業宇宙について学んだり調べたりする時はこの本を持っていると辞書のようでとても便利だと思います!
 
 81週目:6月28日~7月4日は次の本(計1,088ページ)でリーディングマラソンの予定です。
 ・長田弘「長田弘詩集」(ハルキ文庫)P259
 ・大谷美和子「ひかりの季節に」(くもん出版)P203
・広瀬隆、明石昇二郎「原発の闇を暴く」(集英社新書)P256
・ASIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」(文芸社)P256
・山本義隆「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」(みすず書房)P114


2021年6月20日日曜日

80週目:6月21日~6月27日のリーディングマラソン予定

前週、79週目;瀧本哲史「僕は君たちに武器を配りたい」、島村英紀「人はなぜ御用学者になるのか―地震と原発」、内田 樹、中沢新一、平川克美 「大津波と原発」、北村博司「原発を止めた町 新装版―三重・芦浜原発三十七年の闘い」、小畑幸子・小畑太刀「生きた証」の計1,151ページ、79週目までの累計は88,697ページです。

 瀧本哲史「僕は君たちに武器を配りたい」は世の中の理不尽さや、その壁を乗り越えるためにどうすれば良いかについて書かれていました。私が一番将来を切り開いていくために勉強になったのは次の部分です。現代の資本主義社会では、組織や製品に大きな差がなくなりつつあるそうです。そんな中では、高学歴であるなど高いスキルを持っていても代替えが可能なものになってしまいます。そのためこれからは、誰にも代替えすることのできない自分だけの個性を持ったスペシャリストになることが大切だと筆者は言っていました。学歴や人の見よう見まねだけではなくそこから自分だけのものを作り出せるようになりたいです

 村英紀「人はなぜ御用学者になるのか―地震と原発」。御用学者とは政府などの権力者の都合の良い事だけを言う専門家のことを言います。もともとは幕府にやとわれて歴史の編纂などの学術研究を行っていたものをさすそうです。この本には専門家の方たちのことだけではなく地震予知のための本質的な知識と要領についても詳しく書かれていてとても勉強になりました。現在、オリンピックの開催とその感染対策で議論になっている中でも、感染症だけでなく、経済学や社会学、政治学の「専門家」としてメディアで発言している人たちがいますが、果たしてどの人が御用学者で、どの人が「本当の専門家」なのか見分ける力を身につけたいと思います。

 内田樹、中沢新一、平川克美 「大津波と原発」は著者の3人の対談がまとめられた本でした。この対談は東日本大震災から約一か月後に行われました。原発について語られているというよりは、大津波が来た後、原発事故の後の日本社会がどのようになるのか、それはなぜなのかを日本人の思想史や歴史、社会学、宗教学などの立場がから議論されています。津波による原発事故の際、原発のような高度な科学技術が集まった建物に何台もの消防車のホースで一斉に放水して冷却しようとしている画面が何か大きなものに竹槍で突っ込んでいる日本的神話の世界のように見えたとするところは「日本的」でおかしかったです。他の本に比べて分厚くなくわかりやすい本だったと思いました。

 北村博司「原発を止めた町 新装版―三重・芦浜原発三十七年の闘い」は三重県芦浜原発を阻止するために一般市民の方々が手を挙げ勝利するまでを密着して書かれた本です。
中部電力が原発候補地に芦浜を選んだことにより原発反対派と推進派に分かれ親戚同士や友達同士の中にも亀裂が入ることになってしまいます。私は反対派か推進派かに分かれただけで37年間友人や親せきと敵対するほど大きなことだったことに驚きました。でもこの原発候補地は愛知県からもあまり遠くはなく地盤にはプレートのある地域だったのでもし個々の原子力発電所ができて地震が起きたらと思うと反対派が勝ってよかったなと思いました。一方、都市部には作らず、地方に原発を作ってきたこと考えると、地域格差というか何か差別的なものを感じました。

 小畑幸子・小畑太刀「生きた証」の筆者は東日本大震災で旦那さんと息子さんをなくしました。筆者は犬を飼っておりその犬がこの本の文章を書きました。震災後の平成23年から26年までの毎日の様子を詩のように書き章の間に文章でその時の様子が詳しく書かれていました。津波とその後の生活で亡くなった夫と息子さんがこの世に生きていたことを言葉、歌として残そうと、飼い犬の「太刀くん」と語るように短歌で歌っています。第三者のワンちゃん視点から筆者の感情や入院した時など様子が表されていたので精神的にも肉体的にもすごくつらい思いをなさっていたことがわかりました。

80週目:6月21日~6月27日は次の本(計1,339ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・新潟日報社 特別取材班「原発と地震-柏崎刈羽「震度7」の警告」(講談社)P282
・鎌田慧「日本の原発危険地帯」(青志社)P344
・尾池和夫「新版 活動期に入った地震列島」(岩波科学ライブラリー)P129
・渡辺勝巳、JAXA宇宙航空研究開発機構「完全図解・宇宙手帳―世界の宇宙開発活動『全記録』」(講談社)P584