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2021年8月15日日曜日

88週目:8月16日~8月22日のリーディングマラソン予定

前週、87週目;船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」、有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」、井上 靖「敦煌」、星 新一「妄想銀行」の計1,455ページ、87週目までの累計は98,255ページです。
 
 船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」。先週読んだ(上)の続きです。私が一番心に残った章は第21章です。この章の吉田所長のことばが印象的でした。初め吉田所長とともに働いていたのは約700人弱いました。私はこの人数の多さに驚きました。なんて勇気があるのだろう、と思います。3月15日、次々と爆発している福島第一原子力発電所を後に約650人が福島第二原子力発電所に避難します。この時吉田所長とともに現場に残ったのは約60人強。そして最後の最後まで危険な中を共に働いたのは約10人でした。現場にいた何人もの作業員たちはとても危険な中命がけで作業をしているのに、東京電力の上の人たちや政治家は、人の命よりもよりも原子力発電所を守ることを優先しました。3.11後も同じ東北地方や熊本などで大きな地震は何度も起こっているし、予測もされています。それにもかかわらず、原子力発電所をまだ使い続けています。早く原子力発電所に変わるエネルギーを作り私たちが節電を意識するようになってほしいです。

 有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」を読むまで私はCIAという組織についてあまり詳しく知りませでした。またこの本を読んで正力松太郎さんのすごさに驚かされました。戦後アメリカは膨大な軍事力を持ちました。そんなアメリカが日本を利用するのはたしかなことで当時日本のメディアの頂点にいた正力松太郎とは関係を深めていました。逆に正力松太郎はマイクロ派通信網構想を実現するべく総理の座を狙っていました。そこで自分のメディアの力を使いアメリカが主張をしている「原子力平和構想」をうまく利用して、国民や政界での支持を高めようとしていました。日本を利用していた大国アメリカを逆に利用していたということに驚きました。CIAも正力松太郎もどりらもお互いを利用しあっていたのです。この本で大人の駆け引きの様子を見てしまったような気持ちになりました。

 井上 靖「敦煌」は映画にもなった井上靖の名作です。舞台は1026の宋の時代です。主人公は進士の試験を受けるために湖南からやってきた行徳という男です。行徳は最終試験で寝てしまい落ち込んでいた時、罪を犯した女の肉が売られようとしているのを見つけます。とっさにその女を買い逃がしてあげました。その女から行徳はお礼に小さな布切れをもらいます。その布切れには、異様な形の文字のようなものが、十個ずつ三列にしたようなものが書かれてありました。女も読むことはできませんでしたが、この布切れがないと西夏は入れないのです。こうして行徳は西夏に向かいます。西夏に向かう途中もそのあとも行徳は戦乱の世に巻き込まれていきます…。20世紀になり西夏との戦いで滅んだ敦煌の万巻の経典が洞窟の中から見つかります。行徳は井上靖が考え出した架空の人物ですが、行徳のように戦乱から貴重な書物を守るために行動した人が当時もいたということがこの本を通して伝わりました。少し古いですが、映画も見たいです。

 星新一「妄想銀行」は短編集でした。私が一番面白いと思った物語はP19「あるスパイの物語」です。この物語の主人公エヌ氏はスパイです。エヌ氏はある日R国内に潜入しそこの同士に大至急書類を届けてほしいと言ってマイクロフィルムを渡しました。ここで上司が万が一落とさないようにとエヌ氏の腕にマイクロフィルムを入れ込む手術を、傷口にばんそうこうを張るくらいのノリで行ったことに笑ってしまいました。上司に合言葉は「気はたしかか?」「一進一退といったところですよ」と答えるように言われエヌ氏はR国へ向かいました。しかし、到着したと同時に捕まってしまいます。そこで、普通なら耐えられない程の取り調べを受けますが、エヌ氏は訓練をしているため一向に口を開きませんでした。するとそんなエヌ氏に「気はたしかか?」と相手は言います。それにつられエヌ氏は「一進一退といったところですよ」と反射的に答えてしまいます。実はこの取り調べをしている人たちが同士で、エヌ氏の口の堅さを試していたのです。いろいろ突っ込みどころがあって面白い物語でしたが、この話の流れが凄くスムーズかつわくわくさがあり星新一さんはすごいなと改めて感じました。

88週目:8月16日~8月22日は次の本(計2,524ページ)でリーディングマラソンの予定です。

・菅谷 昭「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」(ポプラ社)P127
・菅谷 昭「チェルノブイリ いのちの記録」(晶文社)P265
・立石 雅昭、にいがた自治体研究所編 「原発再稼働と自治体ー民意が動かす『3つの検証』(自治体研究社)P138
・古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金「放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策」(三五館)P127
・高橋 毅「図解 次世代火力発電-環境性・経済性を両立する実用化への道」(日刊工業新聞社)P180
・福島原発事故独立検証委員会「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)P412
・清水 修二「原発とは結局なんだったのかーいま福島で生きる意味」(東京新聞出版局)P224
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 1」(ちくま文庫)P397
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 2」(ちくま文庫)P407
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 3」(ちくま文庫)P247