山本博文「こんなに変わった歴史教科書」はタイトルが面白そうだったので読んでみました。この本には、昔(約30年前)と今で変わった歴史のことなどが面白く書いてありました。私が驚いたのは、聖徳太子や足利尊氏、武田信玄などの肖像画がすべて別人のものだったということです。今までの、聖徳太子や武田信玄のイメージが覆されてとっても面白かったです。私の父母の習った用語と私の習った用語は意味が同じでも違う言い方をするものがあるということは学校の先生からの話など知っていましたが、この本を読み、具体的にたくさんの違いについて学ぶことができました。
渡辺和子「面倒だからしよう」には、人間としてとても大切なことがたくさん書いてありました。一つ一つの言葉がすべて心に刺さったのですが、その中でも一番印象に残ったのはP19の『新しい気持ちで毎日の仕事に取り組む』です。このお話には「1回1回が仕始めで仕納め」「最初で唯一で最後」というふうに書いてありました。次があるからいいやではなく一つ一つの学びを大切に生活していきたいと思いました。他にもたくさんの心に響く言葉がわかりやすく書いてありました。これからも折を見てページを開いてシスター渡辺の言葉に触れていきたいです。
山極寿一「『サル化』する人間社会」は霊長類研究、サル学の第一人者の本です。最近は、日本学術会議でもニュースで発言されています。この本は、ゴリラと人間の生活を比べて描いてあり、とても分かりやすく頭に入ってきやすかったです。筆者は、ゴリラ、サル、チンパンジーの群れ、集団での生活の方法について比較をして、人間とどう違うのかを考えます。人間の脳の発達と身体の成長のスピードの関係、熱帯雨林から離れたことで幼児死亡率が急増し、子どもをたくさん産む必要が生まれ、そのために離乳期を早め次の出産を準備するようになったこと。離乳させないといけないのに赤ちゃんはよく泣くし、よく笑う、だから母親だけでなく周りの大人の協力も得ながら共同保育をするようになり、家族が必然的に生まれ、更に複数の家族がコミュニティー、地域社会を形成していった。この「家族」と「地域」の両方をうまくやれるのが人間の特徴で他の霊長類にはないのだそうです。そのために重要なのが「共感力(コミュニケーション)」。でも、コミュニケーションの変化によって家族と地域が崩壊しつつあり、個人というものがどんどん前面に出て、自己実現、自己責任ということが問題になり、個人が様々なことに裸で接する時代になってしまいました。家族のフィルターもなく、共同体というフィルターもない。個人だけが様々な制度と向かい合って、社会がどんどん閉鎖的になっているというのが現代の状況。結果として「人間社会はサル化(どちらが強いか弱いか認知し行動)してきている」としています。そして、これからのIT社会、グローバル社会では、家族が集まったコミュニティーというものをしっかりと再建して「社会資本」を取り戻さなくてはいけないとしています。私たちの未来ってどうなるのだろう、と少し不安にもなりましたが、情報技術を賢く使いつつ、ネットワークを広げ、ITだけではなく身体や五感を使ったコミュニケーションを心がけたいと思いました。
・髙橋睦郎「百人一首 -恋する宮廷-」 (中公新書) P229
・齋藤孝『超訳こども「アドラーの言葉」』(KADOKAWA)P80
・伊坂幸太郎「フーガとユーガ」(実業之日本社)P284
・名古谷隆彦「質問する、問い返す―主体的に学ぶということ」 (岩波ジュニア新書) P224
・清水真砂子「大人になるっておもしろい?」 (岩波ジュニア新書) P240