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2021年1月31日日曜日

60週目:2月1日~7日のリーディングマラソン予定

 前週、59週;星新一「きまぐれ星のメモ」、星新一「妖精配給会社」、ジャクリーン・ケリー、斎藤倫子(訳)「ダーウィンと出会った夏」の計1,100ページ、57週目までの累計は67,004ページです。
 
 星新一「きまぐれ星のメモ」は、いつもの短編集ではなく章ごとに分けた随筆でした。『1.生活する』『2.仕事場』『3.旅をする』『4.あれこれ考える』『5.味わう』『6.ちょっと頭に浮かぶ』『7.思い出』の7章で章に関連した話がそれぞれ書かれた短編集でした。私は『生活する』の『夏の日の事件』が印象に残りました。出前のソバ屋で起きた事件の事でした。出前でそばを頼んだら代金の器をあとで返すのが当たり前です。しかしこの話では、家内はお金を出したといい蕎麦屋さんは貰っていないという可笑しなことが起こります。そして家内がお金を渡した相手は詐欺師だったことが分かりました。ここから著者が推測した犯人の動機がとても面白かったです。私はこの集金詐欺というものを初めて知りました。面白いのがこの話の詐欺師さんは200円だけしか手に入っていないということです。本にも書いてありましたが、集金詐欺は出前の家まで待ち伏せし顔もばれるリスクの高い実行するのが大変なものだそうです。ここまでして200円しか手に入らなかった詐欺師さんの行動が面白かったです。また蕎麦屋の出前だけでない場面でも詐欺はいるので気を付けたいと思いました。
 
 星新一「妖精配給会社」は短編集でした。どの物語も面白くてドキドキしましたがP244の『友だち』が一番印象に残りました。ある男が医者のもとに自分の子供について相談をする話です。この男の娘は5歳です。5歳の娘はある日突然妖精と遊んでいると言い出しました。私はまず、男がお医者さんに相談する内容が個性的で物語の設定が面白いと思いました。5歳の女の子は妖精に教えてもらったことを両親に話します。しかし、5歳の子してはあまりにも大人びたことを言うので、男は不思議に思いお医者さんに相談しました。するとこのお医者さんは子供は両親の影響を受けやすいと考え、男を催眠術にかけ5歳の時の気持ちをよみがえらせます。すると男にも小さいとき娘のように友達がいたことが思い出されました。この物語は小さい時は、みんな純粋な心を持っていたということを伝えていると思いました。嫌なことがあったら小さい時の思い出や空想をして気持ちを静めるのもいいと思いました。

 ジャクリーン・ケリー、斎藤倫子(訳)「ダーウィンと出会った夏」は1899年のアメリカ・テキサス州の田舎村が舞台です。主人公は7人兄弟で唯一の女の子キャルバーニです。あらすじを簡単に紹介するとこのキャーバニアがダーウィンの本に興味を持ち、書斎にいた祖父の協力のもと研究に目覚めていく物語です。まず時代背景に女性への偏見があります。今から約100年まえまではまだまだ女性と男性の区別がはっきりとしていた時代、男性が多くなる研究者をキャーバニアは目指しています。私はまずこのキャーバニアを支えた変わり者の祖父に感動しました。孫の夢のために森に行ったり植物を採取したり、実験の失敗談や楽しさなどの様々な知識を与えてくっれる祖父は素晴らしいと思いました。また、厳しい母や周りの目の描写からこの時代の厳しさも少し実感することができました。私も生物にとても興味があり研究者になりたいと考えていたので参考になりました。また、最初キャーバニアが探していたダーウィンの本とは『種の起源』でこの本は私もリーディングマラソンfor チルドレンを通して読んでいたのでとても読みやすかったです。この本を読んでもっと研究者というものに興味がわきました。

60週目:2月1日~2月7日は次の本(計1,056ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・井伏鱒二「黒い雨」(新潮文庫) P416
・三浦綾子「道ありき<青春編>」(新潮文庫)P384
・伊坂幸太郎「仙台ぐらし」(集英社文庫) P256

2021年1月24日日曜日

59週目:1月25日~31日のリーディングマラソン予定

 前週、58週;辻村深月「家族シアター」、辻村深月「噛み合わない会話と、ある過去について」、星新一「かぼちゃの馬車」、星新一「おせっかいな神々」の計1,164ページ、57週目までの累計は65,904ページです。

 辻村深月「家族シアター」は家族に関する物語が7話入っている短編集でした。私は一番最初の「妹」という物語が一番面白く最後の締めもほっこりと感動しました。この物語の主人公は2人の姉妹、由紀枝と亜季です。由紀枝が結婚式の日に100人近い招待客一人一人に手紙を書き、亜季が自分宛に書かれた手紙を読んで高校生時代を振り返ります。由紀枝はファッションやメイクに疎くいつも目立たない子でした。亜季はそんな姉と比べられるのが嫌で可愛くおしゃれでいることを大切にしていました。小さい頃は3人は仲がよかったですが今は良くありません。この物語のクライマックスは亜季に彼氏ができることから始まります。亜季に彼氏がちょうどできた時期由紀枝は友達関係で色々あり元気がありませんでした。また、由紀枝が怖い同級生(亜季の先輩)と喧嘩をします。この普段はあまり目立たずおとなしい由紀枝が喧嘩した理由を亜季は知り誤解を解いていきます。怖い先輩は亜季の彼氏に告白して振られており彼女になった亜季を恨みます。そのことで由紀は妹の亜季をかばい喧嘩し友達にも嫌われてしまいます。亜季はいつもひどいことを言っていた姉に対して考え方がかわります。結婚式の手紙には「高校生の時の勇逸の自慢は可愛いくて人気者の亜季だった」と書いてありました。私は、一人っ子で兄弟がいませんがこの物語を読むと2人それぞれの気持ちが少しわかり感情移入がしやすかったです。ずっと姉のことが好きではなく喧嘩ばかりしていた妹も姉の優しさをり心を開いたところはほっこりしました。短いお話で色々な感情を体験することができてよかったです。
 
 辻村深月「噛み合わない会話と、ある過去について」は辻村深月さんの本で2018年に本屋大賞を受賞された作品です。この本は4つの中短編中です。この物語は共感する箇所がいくつかありました。この本にはいってる4話とも題名通り過去について話していたらそれぞれ噛み合わなくて亀裂が入ってしまうような話でした。「ママ・はは」では友人二人が成人式の着物について話しているのが主ですが、一人の方は自分の好きな着物を着たかったけれどレンタルで先に借りられてしまっていました。成人式ではきたい着物が着れればベストです。しかし、もう一人の方は全てを親が決めていました。着物をいとこから借りることを決めクーリングオフしたお金を中古車を買うのに使うということを勝手に決めていたもです。このように親としては良かれとやっていることが本ににとってはすごく嫌だったということです。このように他の3話も過去のことを話しているうちに実は嫌だったということを言われやっていた方が初めて余計なお世話だったことに気がついています。私が辻村深月さんの本で面白いと思うところはハッピーエンドで終わるお話と少し暗い感じで終わる作品があることです。幅広いジャンルで書かれているから色々な本を読むことができます。この物語のように良かれと思っていたことが秘湯を傷つけてしまったいる可能性も心に留めておきたいと思いました。

 星新一「かぼちゃの馬車」は私が好きな星新一さんが書いた本です。この本で面白いと思った物語はP56からの「外見」です。ある会社の社長が交通事故を起こしてしまい瀕死状態になります。医者は人工内蔵に置き換えて右手両足を義手、義足に付け替えなければ死んでしまうと社員にいいます。すると社員は「会社の存続の方が大事だ。お金はいくらでも出すから命を取り止めてくれ」と頼みます。そして社長jは一命を取り留めますがそこからが大変でした。義手義足を金色に変え、声もカナリアのような高い綺麗な声にし、人間離れしてしまったため疲れることもありません。そのため社員は24時間丸一日社長の自慢話を聞かされノイローゼ状態になってきます。今では社長の手術を担当した医者の元へノイローゼ状態になった社員が押し寄せています。医者は当初、社長が突然人間離れした体を持ちショックを受けることを心配していましたが逆の結果になって戸惑います。まず会社の経営のために社長を助けたのは良かったが会社を支えている社員が動かなくなってしまったというオチが面白かったです。また、医者が理由は違うけど終始心配して困っているのもすごく面白くて印象に残りました。

 星新一「おせっかいな神々」は星新一さんが書いた短編集です。この本では、「笑い顔の神」という物語の結末に驚きました。昔、小さな村に住む男がある木彫りの笑った顔の像を拾います。するとこの像が喋りだし「自分は神だ。」願いを叶えてやろう」と言います。この男はお金が欲しかったのでお金が欲しいことを頼みます。すると台風が来ても運良く作物を取り入れていたり作った作物がよく売れたりなどと周りの人々と差をどんどんつけてみるみるうちにお金持ちになりました。人にお金を貸し一帯の畑や山林を全て手に入れます。そして男は木彫りの像に「福の神様、ありがとうございました」と言います。すると像は「福の神ではない」と言います。そして数日後、男の家は荒らされガラクタの木彫りの像は川に捨てられてしまいました。この木彫りの像が何の神様だったのかぜひ本よんでみてください。まさかの結末で私はすごく驚きました!! 
 
59週目:1月25日~1月31日は次の本(計1,100ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・星新一「きまぐれ星のメモ」(角川文庫) P383
・星新一「妖精配給会社」(新潮文庫) P305
・ジャクリーン・ケリー、斎藤倫子(訳)「ダーウィンと出会った夏」(ほるぷ出版)P412

2021年1月17日日曜日

58週目:1月18日~24日のリーディングマラソン予定

 前週、57週;辻村深月「クローバーナイト」、辻村深月「きのうの影踏み」、井上ひさし、平田オリザ「話し言葉の日本語」の計1,042ページ、57週目までの累計は64,740ページです。

 辻村深月「クローバーナイト」は、様々な家庭内の日常茶飯事を通して鶴峯家が成長していく話です。登場人物は会計事務所で働く裕、裕の妻でアパレルショップを経営している志保、5歳の長女莉枝未、2歳の長男琉大です。志保はママ友の不倫疑惑や誤解、小学受験などアパレルショップを経営しながら育児に精を尽くします。また裕は志保の頑張りを見習いながら会社の社長夫人の悩みなどを聞いたり、仲を取り持ったりとあわただしい生活を送っています。読んでいてこの物語のような家庭は日本にたくさんありそうだなと感じました。一人一人悩みがありながらも協力し合いながら家族というものを作っているのだなと思いました。また、この本を読んで私の知らない大人の悩みも少し感じました。私も家族のためにお手伝いなど仕事をしたいと思いました。

 辻村深月「きのうの影踏み」は、少し怖いお話が13話入っている短編集でした。私はP7からの『十円参り』が一番ドキドキしました。団地の子供たちの間で都市伝説が流行っていました。それは、団地の裏山にある神社に消したい人の名前が書いてある神と10円玉を10日間誰にも見られないように入れ続けると紙が赤くなり願いが叶ってその人が本当に消えるというものです。ミサキとマヤは神社の前でいつも一緒に遊んでいた「なっちゃん」が消えたことについて話していました。いくら考えても答えが出ないので賽銭箱を開けて紙を確かめることにしました。すると中には真っ赤になった紙が10枚見つかり中には「高城ミサキ、濱野マヤ」と書いてありました。この話はほかの13話の中でも一番怖かったです。この話は作者である辻村深月さんが友人である「なっちゃん」から直接聞いた話として描かれておりさらにドキドキしました。もしこの話が本当だとしたらミサキとマヤはどうなってしまったのかとても気になりました。

 井上ひさし、平田オリザ「話し言葉の日本語」は私の好きな作家、井上ひさしさんと平田オリザさんの対談の様子が書かれていました。私はP69からの『「敬語」の使い方・使われ方』がとても参考になりました。まず言葉は同じことを伝えていても、語尾や言い方によって話す相手やとらえ方が全く異なります。また敬語の中にもいろいろな種類があり、手紙を書いたりメールを送ったりする時に、どの言葉を使えば失礼に当たらないか迷うときがあります。敬語には七大敬語というものがあることを知りました。「いらっしゃいませ」「はい、かしこまりました」「少々お待ちくださいませ」「お待たせいたしました」「申し訳ございません」「ありがとうございました」です。また「あの人」「あなた」「やります」「やれません」「わかりません」は絶対使ってはいけないものだということもわかりました。敬語の使い分け方などがお二人の対談から少しわかりました。「わかりません」などはメールなどで使ってしまいそうなので気を付けたいと思います。言葉は実践していかないと見につかないと思うので普段からもっと目上の方に手紙を書こうと思いました。

58週目:1月18日~1月24日は次の本(計1,164ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・辻村深月「家族シアター」(講談社文庫) P384
・辻村深月「噛み合わない会話と、ある過去について」(講談社)P210
・星新一「かぼちゃの馬車」(新潮文庫) P288
・星新一「おせっかいな神々」(新潮文庫) P282

2021年1月10日日曜日

57週目:1月11日~1月17日のリーディングマラソン予定

前週、56週目:辻村深月「島はぼくらと」、辻村深月「光待つ場所へ」、辻村深月「本日は大安なり」の 計1,283ページ、56週目までの累計は63,698ページです。

 辻村深月「島はぼくらと」は5章に分かれていました。私は1章が一番面白かったと思いました。舞台は瀬戸内海の小さな島、冴島です。この島は島を活性化させるためによそからの移住「Iターン」を積極的に受け入れていました。主人公は朱里、衣花、新、源樹の四人の高校2年生です。朱里たちは本土の高校へフェリーで通っています。ある日、4人はフェリーの中で作家の霧崎ハイジに出会います。霜崎ハイジは冴島に存在するという『幻の脚本』を探すためにやってきました。初めは警戒していた四人ですが、幻の脚本に興味を持ち、探すのを協力することにします。しかし、島の人たちは怪しみ、不穏な空気が流れてしまいます。そこで源樹は偽の脚本を作り、幻の脚本と偽って渡し、島から出て行ってもらうという提案をします。源樹は演劇部所属の新に脚本を書くように頼み小学校の倉庫で見つけたと嘘をついて霧崎ハイジに渡します。すると霧崎ハイジは興奮してそれを持ち帰り帰っていきました。3か月後、霧崎ハイジは4人の渡した偽物の脚本を自分のものとして応募しコンクールで最優秀賞を受賞します。この偽の脚本を書いた新は自分が評価されたことに大喜びします。霜崎ハイジのマイペースさや、島の不穏な空気をなくすために偽物を作ろうとした大胆な源樹の考えにどうなるのかとドキドキしました。最後、新の書いた偽物が最優秀賞に選ばれてしまったところも面白かったです。霜崎ハイジが盗作紛いなことをしているところも霜崎ハイジの性格を表していてよかったです。他にもIターンでこの島にやってきた母子家庭の子の悩みや、朱里の母親が経営している会社のこと、行方が分からなくなっていたもう一人の同級生のことなどほかの章にはもっと内容の深いお話がありましたが私はこの章のオチが心に残っていたので選びました。最後の方には「スロウハイツ」の赤羽環もでてくるので「スロウハイツの神様」も読みたいと思います。

 辻村深月「光待つ場所へ」は短編集でした。「冷たい光の通学路1、2」「しわせのこみち」「アスファルト」「チハラトーコの物語」「樹氷の町」の5つのお話が入っていました。この本は私の好きなスピンオフ作品でした。他の作品ではわき役だった子たちがもう一つの物語では主人公になり同じ出来事を違う目線からみているためいろいろな立場から話を理解できるので好きです。私は「アスファルト」が一番心に残りました。主人公は大学をもうすぐ卒業する藤本昭彦です。物語の舞台はドイツのベルリンです。このベルリンへの旅行は本来なら彼女と二人で来るはずでした。この物語は彼女と付き合っていた時のことや友人関係のことなどをベルリンという地で思い出している様子が描かれています。自分が良かれと思ったことがそうでないなど一人が心地よいと感じてしまう藤本昭彦はベルリンの街で人と人が触れ合うことによって生じる心地よさを感じ、自分の世界に戻ることを決意します。この物語の主人公は大学生で舞台もドイツですが、藤本昭彦のの心情はどの人も経験したことがあると思いました。私も悩みがあったり一人になりたいなと思ったときは、少し普段と違うものに触れてみて新しい世界を発見してみようと思いました。

 辻村深月「本日は大安なり」では4つの結婚式に関する物語が入っていました。私が一番面白いと思った物語は相馬家・加賀山家の結婚式です。まず主な登場人物は新郎の相馬英一、新婦の加賀山妃美佳、新婦の双子の姉の鞠香です。妃美佳と鞠香は一卵性双生児なのでよく顔や姿が似ています。逆にお互いを意識しているため、相手の大事にするものや人を欲しがったり些細なことで優越感を感じるところもありました。新郎の相馬映一はそんな妃美佳のややこしいところに惚れて結婚をします。しかし、結婚前に一度だけ鞠香と妃美佳を間違えたことがあり妃美佳はそんな英一に少し不満を持っていました。そこで妃美佳は鞠香とともにある計画を考えます。それは、結婚式当日2人が入れ替わるということです。妃美佳はもし映一が最後まで見抜けなかったら別れるつもりでした。一方、鞠香は鞠香で考えがありました。妃美佳と鞠香を英一が間違えたというのは鞠香が妃美佳にいったデマで本当は英一は一目で気づいていました。これにより鞠香のプライドは傷つけられたため、この結婚を許せば映一以上の男性を見つけなければならないと密かに対抗心を燃やしていました。だから入れ替わって映一を騙すことで英一が妃美佳と鞠香の違いに一目で気が付いたあの日のことは間違いだと証明し優越感に浸ろうとしていました。しかし、結婚式の途中で火災を知らせる警報が鳴ってしまいます。すると映一は参列席にいた妃美佳の手を取ります。その後、鞠香が映一に声を掛けると、『勘弁してよ』と英一は言いました。英一は今日だけは新婦の妃美佳の好きにさせようと入れ替わっていることに気が付いていながらもそのままにしていたのです。つまり映一は本当に妃美佳のややこしい部分に気が付いていて、彼女たち以上にややこしい男性なのです。また鞠香は映一と妃美香の二人に負けを認め、もっとややこしい相手を見つけなければならないと意気込みます。私はこの物語を読み終えた後、すごくややこしい設定だと思いました。でも、一人一人の個性が際立っていて、とても面白いと思いました。また、妃美香のややこしさを超える鞠香よりもややこしい英一と、その栄一以上の男を探そうと頑張る鞠香の姿に笑ってしまいました。他の物語も同じようにとても楽しく読めました。内容に辻村深月さんの他の作品に登場する人物が出てくることがあったので、もっとたくさん辻村さんの本を読みたいです。

57週目:1月11日~1月17日は次の本(計1,042ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・辻村深月「クローバーナイト」(光文社文庫) P429
・辻村深月「きのうの影踏み」(角川文庫)P256
・井上ひさし、平田オリザ「話し言葉の日本語」(新潮文庫) P357

2021年1月3日日曜日

56週目:1月4日~1月10日のリーディングマラソン予定

前週、55週目:磯田道史「無私の日本人」、村岡恵理「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」、辻村深月「盲目的な恋と友情」の計1,117ページ、55週目までの累計は62,415ページです。

 磯田道史「無私の日本人」は、「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」の3話が入っています。その中でも1話目が一番面白かったです。舞台は東北の奥州街道沿いの仙台藩吉岡宿です。吉岡宿の人々は、普通の農民のように年貢だけではなく、藩が街道を往来するときに「伝馬役」という荷物や人を運ぶための課役がにより負担がかかっていました。藩主伊達家も宿場町がなくなってしまうと困るため「伝馬御合力」という制度を作りましたが、吉岡宿は但木家の領民であって伊達の領民ではないため、殿様から支援がもらえないということで、吉岡宿には支払われることがありませんでした。そこで主人公の穀田屋十三郎はこのままでは吉岡宿がつぶれてしまうと思い菅原篤平治という茶師に相談します。菅原篤平治は吉岡宿で一番頭がいい人でした。菅原篤平治は「藩はお金に困っているため、まとまった金子を作りそれを藩に差し上げ、ご利息を頂く」という秘策を考えます。この『穀田屋十三郎』は『殿、利息でござる!』という映画にもなっています。ぜひ見てみたいです。また、ほかの2遍もすべて実在した人物がモデルになっています。あまり有名ではない無名の日本人にこんな方たちがいたことを知りとても興味深いと思いました。いろいろな本を探してもっと詳しく知りたいです。

 村岡恵理「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」は、モンゴメリの描いた赤毛のアンを翻訳した人の生涯を描いた本です。『花子とアン』というNHKの連続テレビ小説にもなりました。村岡花子さんの旧名は安中はなです。山梨県の甲府市で1893年に産まれました。元々、父親がクリスチャンで村岡花子さんも洗礼を受けます。村岡花子さんは小さい時から成績は優秀でした。その後、村岡花子さんは9歳で東洋英和女学院に入学します。家は貧しかったのですがクリスチャンのみ学費が免除される制度がありそれを利用して入学しました。ただしこの制度には今の奨学金のように奉仕活動の義務や、一定以上の成績を保つというような条件があります。ここでの生活がものすごく私はこの場面が一番印象的でした。初め村岡花子さんはアルファベットも読むことができませんでした。それに比べ周りの子は英語がペラペラでした。ここで10年間もの猛勉強をします。その後、村岡花子さんは柳原あき子さんに出会います。柳原あき子さんは名家・柳原家の次女でした。村岡花子さんはこの柳原あき子さんととても親しくなります。卒業後、村岡花子さんは『日本女性の過去、現在、将来』を卒業論文で書き称賛を受けます。その後、5年間山梨英和女学校の英語教師として勤務します。ここで、教師生活をしながら文芸雑誌に原稿を載せるなど活動の幅を広げていました。1919年の時、村岡敬三と恋に落ち結婚します。1921年、親友だった柳原あき子が社会運動家の宮崎龍介と駆け落ちをします。このことは世間に『白蓮事件』として知れ渡ります。しかし、村岡花子さんは柳原あき子さんの初めの結婚が政略によるものだと知っていたので、駆け落ちするほど好きな人ができたことに喜びを感じ10年ぶりに再会を果たします。しかし、1922年から悲しいことが続きます。まず、村岡敬三の父が亡くなります。1923年、関東大震災で村岡敬三の弟・村岡斎と水上家に養子に行っていた妹・雪子が亡くなります。また、水上家には村岡敬三の前妻との子・嘉男がおりその訃報も伝えられました。その3年後の1926年、夫・村岡敬三が当時はやっていた疫痢にかかり急死します。この続く不幸により村岡花子さんは、なかなか立ち直れなくなります。そんな村岡花子さんを支えたのは『マーク・トウェイン作 ザ・プリンス・アンド・ザ・ポーパー』です。これをきっかけに翻訳家になることを目指します。その後、婦人参政権獲得運動にお力を入れながら「子どもの時間」に出たり、歌人や小説家と親交を深めていきます。そんな中、花子の友達でカナダ婦人宣教師のミス・ショーが帰国します。このミス・ショーを通して村岡花子さんはモンゴメリ作の『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ』に出会います。そして戦争が終わった1945年頃翻訳版が完成します。ドラマで一度村岡花子さんの生涯をみて少し知ってはいましたが、この本を通して細かいところや様々な苦難があったことを学びました。たくさんの人の協力が合ってからこそ今この世の中に『赤毛のアン』という素晴らしい作品が知れ渡ったのだとかんじました。時間があればまたドラマ『花子とアン』も見返してみようと思います。

 辻村深月「盲目的な恋と友情」の主人公は一ノ瀬蘭花です。小さいころからバイオリンを習っていた一ノ瀬蘭花は大学生になってからもアマチュアのオーケストラに参加していました。指揮者の茂美星近は彼氏です。一ノ瀬蘭花の母親は元タカラジェンヌでその影響を受けてバイオリンをやっていました。中学・高校にオーケストラ部はなかったためずっとソロで弾いてきました。大学生になってからアマチュアオーケストラに入部し、大きなホールで演奏をし始めます。第一バイオリンの中で蘭花が仲良くなったのが傘沼留利絵でした。彼氏の茂美は実力派指揮者・室井稔の下で勉強をしていました。室井の渡航に付き合うこともありベルギーとの間を行ったり来たりしていました。しかし、茂美は室井の妻・奈々子と過ちを犯し仕事を干されてしまいます。働かなくなった茂美は蘭花のことを金銭的に頼るようになります。この様子を見た留利絵は別れるよう勧めますが、未練がある蘭化には聞き入れてもらえませんでした。また、茂美のスマフォの中に蘭花の盗撮動画がありばらされる危険もありました。それから間もなくして茂美が自宅の近くにある橋から転落しました。茂美自身が酔っていて現場の柵ももろくなっていました。この事件は『死にたい』というメモが見つかったことから自殺として処理されます。茂美が亡くなってから1年間病気を理由にして会社を休んでいた蘭花ですが気力を取り戻していきます。やがて1つ年下の乙田と親しくなり結婚をします。この結婚に留利絵も招待されます。そして友人代表としてスピーチを始めようとしたときふたりの刑事が会場内に入ってきました。じつは茂美は自殺ではなく事故(殺人)で死んでいたです。あの日、茂美にお金を要求された蘭花は茂美のことを突き飛ばしてしまいます。その後蘭花がパニックになり逃げだした後に茂美のスマホを留利絵は持ち去ります。秘密を守り抜く覚悟をしていた留利絵でしたが蘭花が親友よりも結婚を選択したため留利絵はスマホを警察に送り付け共犯者のして蘭花と一緒にいることを誓います。最後に留利絵がどんでん返しをしたことに驚きました。初め裏表紙のあらすじを読んだときは、蘭花が彼氏を親友に奪われたり騙されたりされるのかと思っていましたが、全く違いとても楽しくハラハラドキドキしながら読むことができました。

56週目:1月4日~1月10日は次の本(計1,283ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・辻村深月「島はぼくらと」(講談社文庫) P432
・辻村深月「光待つ場所へ」(講談社文庫)P432
・辻村深月「本日は大安なり」(角川文庫) P419