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2021年7月18日日曜日

84週目:7月19日~7月25日のリーディングマラソン予定

前週、83週目;重松 清「その日のまえに」、知念 実希人「祈りのカルテ」、辻村 深月「ハケンアニメ!」の計1,259ージ、83週目までの累計は93,487ページです。

 重松 清「その日のまえに」は7編でなる連作の物語でした。題名の「その日」とは死を表しています。生と死に関係する物語ばかりでとても感動しました。私は『潮騒』という物語が一番感動しました。主人公、佐藤俊治は病院で余命はわずか三ヶ月ということを伝えられます。ずっと行かないようにしていた港西に向かう所から回想のように物語が始まります。なぜ約30年港西に行かなかったのか、それは友人のオカちゃんを海難事故で亡くしたからでした。主人公はこのオカちゃんともう一人の友達の石川との3人の思い出を振り返っていきます。この主人公は残りの90日間を友人との思い出に捧げました。私はこの物語を読みん柄もし自分の命が後3ヵ月だったら何をするのだろうかとふと考えさせられました。人の死について深く考えることのできる物語です。

 知念 実希人「祈りのカルテ」は新米医師の諏訪野良太が臨床研修で訳アリの5人の患者さんに出会って成長していく物語でした。私は一番最後の『胸に嘘を秘めて』が一番好きです。この物語の舞台は循環器内科です。四十住絵理という有名女優がアメリカでの心臓移植手術を待つために諏訪野良太のいる病院にやってきます。有名女優が難病にかかっていることを知られないようにするために徹底的な対策をしていましたがなぜか情報漏れしてしまい事務所の社長が記者会見をすることになります。そこで社長は四十住絵理のアメリカでの手術のために寄付金を国民に呼びかけます。たくさんの批判もある中必要額を大きく上回る寄付金が集まります。諏訪野良太は情報が漏れたことや、必要額が集まってもなお寄付を続けることなどに違和感を覚え本当に心臓移植をする気なのか調べます。すると理恵の言っていたアメリカの病院では海外からの患者の受け入れをしていなかったことが明らかになります。ここまでを物語で読むとマネジャーも理絵も少し怖くウラがありそうな悪いイメージでしたが、マネージャーと理絵の本当の気持ちに最後は感動します。他の4つの物語もとても面白かったのでぜひ読んでみてください。 

 辻村 深月「ハケンアニメ!」はアニメ業界で働く4人の女性についての物語でした。まずハケンアニメとはその期に放映されたアニメの中でパッケージの売り上げが最も大きかった作品のことを表すそうです。すべての章が最終話につながっていますが私はアニメ制作の大手トウケイ動画で働く斎藤瞳が主人公の『女王様と風見鶏』が一番面白かったです。佐藤瞳は超エリート大学法学部を卒業した後アニメ業界でその才能を発揮します。しかし自らが企画したアニメ「サウンドバック 奏の石」なかなか思うようにいかず挫折しかけます。そこでプロデューサーの行城に出会います。アニメ制作には各話の演出や作画の監督、脚本化などなどたくさんの方が関わっているため瞳は何度もぶつかり合います。しかしプロデューサーの行城は「天才肌の斎藤さんには無駄に見えることでも、現場には必要なことってあるんですよ」と毎回フォローをして瞳を支えていきます。物語ですがとてもリアルに描かれていて、読んでいる私まで「どうやったらうまくいくのだろうか」などと実際に現場に携わっている人たちの気持ちになって楽しむことができました。アニメが出来上がるまでの様々な人物関係が描かれている物語でした!!
 
84週目:7月19日~7月25日は次の本(計1,043ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・江國 香織「号泣する準備はできていた」(新潮文庫)P233
・辻村 深月「朝が来る」(文春文庫)P358
・細田 守「おおかみこどもの雨と雪」(角川文庫)P244
・パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢・山川亜希子(翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」(角川文庫)P208