自己紹介

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2021年7月4日日曜日

82週目:7月5日~7月11日のリーディングマラソン予定

前週、81週目;長田弘「長田弘詩集」、大谷美和子「ひかりの季節に」、広瀬隆、明石昇二郎「原発の闇を暴く」、ASIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」、山本義隆「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」の計1,088ージ、81週目までの累計は91,124ページです。

 長田弘「長田弘詩集」私は「花を持って、会いにゆく」という詩が一番印象的で気に入りました。初めの「春の日に、あなたに会いにゆく」や「きれいな水ときれいな花を手に持って」はさわやかな透き通った印象がしました。しかし、だんだんと「歩くことをやめてはじめて知ったことがある」から死の意味に気づいていき少し暗い印象になっていきます。
しかし「死ではなく、その人がじぶんのなかにのこしていったたしかな記憶を、私は信じる。」というように後半はそれでもあなたに会いに行くために再び歩き始めます。
この物語のような詩の流れがとてもすてきだと思いました。また今週読んだ「ひかりの季節に」と少し重なるところがありました。

 大谷美和子「ひかりの季節に」は人の生と死について深く考えられとても感動しました。主人公のみさきはとても仲の良かったいとこ・輝を19歳で亡くします。そんなみさきが心を開いて話せる相手は輝がくれたぬいぐるみのロバートだけでした。そんな心を閉ざしていたみさきですが奥さんを亡くした祖父に出会います。祖父の今までの人生の話を聞いているうちにみさきは明るさを取り戻していきます。長い人生を歩んできた大人なりの生き方と若い子供なりの生き方が生き生きと描かれていたとても良い物語でした。

 広瀬隆、明石昇二郎「原発の闇を暴く」すべて章に参考になることが書いてありましたが第一章の『今ここにある危機』の中に書いてあった「子供たちが被爆している」が印象深かったです。福島第一原発の30キロ圏内に住んでいた人々は大量の放射線に汚染されているにも関わらず事故直後放置されていました。この本には30キロ圏内にいた15歳以下の子供たち約950人に甲状腺の被爆線量を調べた結果がのっていました。「いずれも問題はありませんでした。と発表されましたが数値はどうあれ針が振れるのです」と書いてありました。数値は問題なくても普通検出されない物質が子供の体から検出されていることは恐ろしいと思いました。もし、30キロ圏内の人々をもっと早く非難させていたら被曝量はもっと抑えられるかもしれないとも思いました。子供たちが被曝してしまったのは人災だと思います。

 SIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」第3章『大震災後に広まったデマ・誤信』を詳しく読みました。第3章の一番初めに元東京電力に勤務していた平井憲夫さんが晩年に語った原子力発電所の実情について書いてありました。もともと平井さんは反原発の方ではありませんでしたが、講演録ではこう語っています。「毎日、被爆者を生み、大変な差別を作っているものでもある」また「原発の作業現場は暗くて暑いし、防護マスクもつけていてお互いに話をすることも出来ないような所ですから、身振り手振りなんです」とも書いてあり驚きました。そんなに環境の悪いところで毎日、危険な物質とともに仕事をしていたのです。私はビルの中の仕事のように明るい衛生的なところで作業している様子が頭の中にありました。しかし、実際は暗く話すことも出来ないようなところで作業していたのです。そんなところで毎日仕事をしているので30過ぎたら年間許容線量に達してしまう人も多く、若手を育てることも出来ません。現場で働いている方たちが身をもって一番原子力発電所の危険さに気づき大変な思いをしていることに理不尽さを感じました。

 山本義隆「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」もすべて原子力発電所について研究していく中でとても参考になることばかり書いてありました。とくに第2章の『技術と労働の面からみて』で原子力発電所の未熟さや事故について詳しく知ることができました。私は以前から原子力の開発について知りたかったためこの本を読んでよかったと思いました。「核力のエネルギー実用化は1983年末から翌年にかけて中性子を照射されたウランの核分裂を物理学者が実験室で発見し、その再放出されるエネルギーの巨大さが理論的に評価され、しかも分裂に際して2個以上の中性子が発生することから連鎖反応の可能背が明らかにナットところから始まった」と書いてありました。私はこの約100年前に原子力について研究していた科学者の方はこの原子力発電所の危険性に気づいていたのかどうかがすごく気になりました。

82週目:7月5日~7月11日は次の本(計1,104ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・金菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」(新曜社)P200
・山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」(双葉社)P184
・安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」(明石書店)P276
・高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」(岩波新書)P188
・長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」(岩波新書)P256