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2021年8月8日日曜日

87週目:8月9日~8月15日のリーディングマラソン予定

前週、86週目;上田 昌文「原子力と原発きほんのき」、吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」、うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」、田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」、山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」、後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」、西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」、ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」、池内 了「娘と話す 原発ってなに?」、船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」の計1,234ページ、86週目までの累計は96,800ページです。

 上田 昌文「原子力と原発きほんのき」は原発の仕組みや歴史などが分かりやすく簡単にまとめられた本でした。『P19:日本が目指す「核燃料サイクル」とは』日本は燃料であるウランを燃やしエネルギーを得て使用済み核燃料を保管するのではなく、使用済み核燃料からさらにまだ使えるウランや新たに出てきたプルトニウムを再利用するという少し変わった方法をとっています。〈日本は資源の少ない国でウランを100%輸入しているためエネルギーを目立たせたい。またプルトニウムは核物質なので平和利用を前提としている日本は他国から怪しまれてしまうため高速増殖炉の燃料として使っている〉これが政府の主張です。しかし、再利用できるプルトニウムは95~97%です。この数字を見ると多く感じるかもしれません。しかし残りの3から5%に視点を置いて考えてみると地球や生命に大きな悪影響を与えているということが分かりました。

 吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」では、初めに書いてあった「全原発が停止しても問題は何も起きなかった」が印象に残りました。2012年5月5日にすべての原発が停止しました。事故以降新聞やテレビなどで〈電気が足りない、このままでは日本経済は大変なことになる〉というキャンペーンが何度も繰り返されてきました。しかし大変な問題は起こりませんでした。この本には『一人一人が、そして一つ一つの企業が地道に節電に取り組めば、一歩間違えば取り返しのつかない危険な原発をあえて稼働させなくても、全く問題は生じない』ということが証明されたと書かれてありました。このことを心にとめて国民全員が意識して節電に取り組む必要があると思いました。

 うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」は、放射能の危険性を文章のような詩のような形式で表された本でした。原発で働いている人、その家族、地域の人、生き物たち…の嘆きの声がとても悲痛に描写されていて、放射線による暗い未来を鮮明に思い浮かんできました。

 
 
 田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」、この本の著者は東京新聞の特別報道部で働いている方です。当時の新聞記事やマスコミの様子などが細かく説明されてありました。現場にいた人しか感じられたいことがたくさん書いてありわかりやすかったです。

 
 
 山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」には福島第一原発事故当時の現場の様子が図などを使って細かく説明してありました。P41に小田実さんという作家の方の話が書かれてありました。小田さんは亡くなられる前に急に食べることができなくなりあっという間に亡くなられたそうです。診断は胃癌でしたが、おつれあいの玄順恵さんによると小田さんはビキニ核実験場やセミパラチンスクノ核実験の場にも何度も行かれたそうです。この放射能による外部被爆と内部被爆がすこしでも影響していると考えられます。このように、人体に大きな影響を与えなくても少量の物がのちのち害になるときもあるということを学びました。

 後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」の著者は元原子力プラント設計技術者の方です。実際に原子力発電所を設計していた人だからこその考えが書かれていました。著者はもともと船の技術者でしたが船の設計の仕事がなくなり、東芝が原子力部門の技術者を募集していたことから原子力に関わる仕事をすることになります。著者は最後に『最悪の事故が起こったら、被害の規模が今回よりももっとはるかに桁違いに大きくなるのは明らかです。早急に脱原発する必要がある』と言っています。原子力に関わる仕事をしていた人が身をもって原子力の危険さを実感しているのです。このような人たちの意見をしっかりと聞いて原子力に代わるものの準備をしていかないといけないと思いました。

 西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」では、この本を通して特定秘密保護法というものを改めて詳しく知りました。本の中にこの特定秘密保護法の原文や資料が沢山載っておりわかりやすかったです。ページ数は少ないですが原子力のことで今まで隠されてきたことなどもぎっしり書いてありました。また再読したいと思います。

 
 ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」の著者は2007年に『すべての「核」に対して「NO」というために』活動する非営利団体NO NUKES MORE HEARTS」を立ち上げたイラストレーターです。原発問題への関心が低い人にも目を向けてもらえるようなデザインのロゴマークやチラシを作ったそうですがなかなか広がりませんでした。そんな矢先、福島第一原発事故が起きてしまいました。しかし、この事故によって著者の考えていた反原発活動を行う人たちが急増したそうです。私もこの団体のことを初めて知りました。これから先、もっと広まっていってほしいと思います。

 池内 了「娘と話す 原発ってなに?」は先週読みとても分かりやすくとても面白かったので再度読み直しました。父親と娘が原発について質疑応答形式で会話しています。教科書のように図や表が載ってあり、下には難しい単語の意味が書いてありました。チェルノブイリの話が印象的でした。チェルノブイリから25年(現在は33年)経つのにまだ立ち入りの地域があります。そのチェルノブイリと同じくらい、それよりも大きな事故だった3.11。立ち入り地域が完全にな
くなるには何年かかるのか…。元通りの生活に一刻も早く近づけるように、何かできることはないか考えたいです。

 船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」は2011年3月11日当日に福島原子力発電所の現場で起きていたことをもとに書かれたドキュメントのような本でした。時刻まで細かく描かれておりドキドキハラハラがすごかったです。まだ上ですが、当時の深刻さ、現場の焦り、地震・津波のすさまじさが伝わってきました。下巻へと続きがどうなるのか読み始めると目が離せない本です。
 
 
 
87週目:8月9日~8月15日は次の本(計1,455ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」(文藝春秋)P528
・有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」(新潮新書)P255
・井上 靖「敦煌」(新潮文庫)P320
・星 新一「妄想銀行」(新潮文庫)P352