自己紹介

<ユニセフ・フレンドネーションのチャレンジ型プロジェクト>で募金活動をしています。詳細は、上の[リーディングマラソン for チルドレンのページ]をクリックしてください。

2021年7月25日日曜日

85週目:7月26日~8月1日のリーディングマラソン予定

前週、84週目;江國 香織「号泣する準備はできていた」、辻村 深月「朝が来る」、細田 守「おおかみこどもの雨と雪」、パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢・山川亜希子(翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」の計1,043ージ、84週目までの累計は94,530ページです。

 江國 香織「号泣する準備はできていた」は色々なお話が詰まった短編集でした。その中でも私はタイトルにもなっている「号泣する準備はできていた」が一番おもしろいと思いました。この短編の主人公は「文乃」です。文乃は大学を中退し、その後約10年、アルバイトをしながら世界各国を旅することに情熱を注いでいました。そんな中ノーフォークのパブで隆志に出会い恋愛観家に発展します。しかし、隆志は他の女を作り同棲していた家を出て行ってしまいました。そんな彼女の生活を辿っていくような物語でした。

 辻村 深月「朝が来る」は昨年映画にもなった物語です。主人公の栗原清和・佐都子夫妻は何一つ不自由なく暮らしていましたが子供ができず悩んでいました。そんな夫婦は「ベビーバトン」という特別養子縁組団体あることを知ります。そこで「ひかり」という中学生が妊娠して、堕胎できなかった赤ちゃんを引き取ることになります。それから数年後、ひかりから子供を返してほしい、返せないならお金を渡してほしいという電話が来ます。裏表紙にあるあらすじでこの場面を読んだときには、ひかりという人物に対して少し変わった印象受けましたが、ページをめくり読み進むにつれ彼女への同情と感動の気持ちでいっぱいになりました。人との関わり方、家族の在り方についてとても考える物語でした。映画も一度見てみたいです。

 細田 守「おおかみこどもの雨と雪」は小学校1年生の時に映画で見ました。とても感動したことは覚えていたのですが、少しストーリーを忘れてしまっていたので本で読みなおしました。「おかみおとこ」と大学生の「花」はお互い惹かれあい恋に落ちます。そして「雪」と「雨」の姉弟を授かります。しかし、しばらくしておおかみおとこは車に轢かれて死んでしまいます。女手一つで2人のおおかみ子どもを育てることになった花は様々な苦難を乗り越えていきます。花が学校の友達とけんかをしておおかみの姿になりかけてしまったり、花と雨が大喧嘩をして家を出てってしまったりとハラハラドキドキしました。最後は花は人間として雨はおおかみとして生きる選択をしますが、どこかで3人(動物と人間)はつながっているんだなと感じ感動しました。もう一度映画も見たいです。

 パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢・山川亜希子(翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」は世界中でベストセラーになった物語で、マララさんやオバマさんも愛読している本です。主人公は羊飼いの少年サンチャゴです。ある日、サンチャゴは羊飼いになり広い世界を見られるようになったけれど羊飼いの世界しか知らないことに気づきます。そんな時、エジプトのピラミッドへ行く夢を見ます。その夢を何度も見たサンチャゴは占い師の老女にエ時プロへ実際に行くように勧められます。ここからこの本の物語は始まります。この物語はサンチェゴがエジプトに行くまでを通して今まで知らなかったことを学んでいく様が細かく書かれていたので読者にも学びや教訓が多いと感じました。一番最初に出会った王様とは『人生のすべてには代価が必要だ』ということを学びます。また愛とは何かなど様々な疑問に直面していくサンチョゴの姿が印象的でした。私もサンチョゴのようにいろいろなことに挑戦し学びを広く深められるようになりたいです。

85週目:7月26日~8月1日は次の本(計1,036ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・田口 理穂「市民がつくった電力会社―ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命」(大月書店)P223
・池内 了「娘と話す 原発ってなに? 」(現代企画室)P192
・朝日新聞科学医療グループ「『震度6強』が原発を襲った」(朝日新聞社)P256
・立石雅昭「地震列島日本の原発―柏崎刈羽と福島事故の教訓 」(東洋書店)P165
・みんなのデータサイトマップ集編集チーム 「図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集: 2011年のあの時・いま・未来を知る 」(みんなのデータサイト出版)P200

2021年7月18日日曜日

84週目:7月19日~7月25日のリーディングマラソン予定

前週、83週目;重松 清「その日のまえに」、知念 実希人「祈りのカルテ」、辻村 深月「ハケンアニメ!」の計1,259ージ、83週目までの累計は93,487ページです。

 重松 清「その日のまえに」は7編でなる連作の物語でした。題名の「その日」とは死を表しています。生と死に関係する物語ばかりでとても感動しました。私は『潮騒』という物語が一番感動しました。主人公、佐藤俊治は病院で余命はわずか三ヶ月ということを伝えられます。ずっと行かないようにしていた港西に向かう所から回想のように物語が始まります。なぜ約30年港西に行かなかったのか、それは友人のオカちゃんを海難事故で亡くしたからでした。主人公はこのオカちゃんともう一人の友達の石川との3人の思い出を振り返っていきます。この主人公は残りの90日間を友人との思い出に捧げました。私はこの物語を読みん柄もし自分の命が後3ヵ月だったら何をするのだろうかとふと考えさせられました。人の死について深く考えることのできる物語です。

 知念 実希人「祈りのカルテ」は新米医師の諏訪野良太が臨床研修で訳アリの5人の患者さんに出会って成長していく物語でした。私は一番最後の『胸に嘘を秘めて』が一番好きです。この物語の舞台は循環器内科です。四十住絵理という有名女優がアメリカでの心臓移植手術を待つために諏訪野良太のいる病院にやってきます。有名女優が難病にかかっていることを知られないようにするために徹底的な対策をしていましたがなぜか情報漏れしてしまい事務所の社長が記者会見をすることになります。そこで社長は四十住絵理のアメリカでの手術のために寄付金を国民に呼びかけます。たくさんの批判もある中必要額を大きく上回る寄付金が集まります。諏訪野良太は情報が漏れたことや、必要額が集まってもなお寄付を続けることなどに違和感を覚え本当に心臓移植をする気なのか調べます。すると理恵の言っていたアメリカの病院では海外からの患者の受け入れをしていなかったことが明らかになります。ここまでを物語で読むとマネジャーも理絵も少し怖くウラがありそうな悪いイメージでしたが、マネージャーと理絵の本当の気持ちに最後は感動します。他の4つの物語もとても面白かったのでぜひ読んでみてください。 

 辻村 深月「ハケンアニメ!」はアニメ業界で働く4人の女性についての物語でした。まずハケンアニメとはその期に放映されたアニメの中でパッケージの売り上げが最も大きかった作品のことを表すそうです。すべての章が最終話につながっていますが私はアニメ制作の大手トウケイ動画で働く斎藤瞳が主人公の『女王様と風見鶏』が一番面白かったです。佐藤瞳は超エリート大学法学部を卒業した後アニメ業界でその才能を発揮します。しかし自らが企画したアニメ「サウンドバック 奏の石」なかなか思うようにいかず挫折しかけます。そこでプロデューサーの行城に出会います。アニメ制作には各話の演出や作画の監督、脚本化などなどたくさんの方が関わっているため瞳は何度もぶつかり合います。しかしプロデューサーの行城は「天才肌の斎藤さんには無駄に見えることでも、現場には必要なことってあるんですよ」と毎回フォローをして瞳を支えていきます。物語ですがとてもリアルに描かれていて、読んでいる私まで「どうやったらうまくいくのだろうか」などと実際に現場に携わっている人たちの気持ちになって楽しむことができました。アニメが出来上がるまでの様々な人物関係が描かれている物語でした!!
 
84週目:7月19日~7月25日は次の本(計1,043ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・江國 香織「号泣する準備はできていた」(新潮文庫)P233
・辻村 深月「朝が来る」(文春文庫)P358
・細田 守「おおかみこどもの雨と雪」(角川文庫)P244
・パウロ・コエーリョ(著)、山川紘矢・山川亜希子(翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年」(角川文庫)P208

2021年7月11日日曜日

83週目:7月12日~7月18日のリーディングマラソン予定

前週、82週目;金菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」、山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」、安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」、高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」、長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」の計1,104ージ、82週目までの累計は92,228ページです。

 菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」は震災後に地元の方々が体験した不思議な体験談がたくさん紹介されていました。私が特に印象的だったのはタクシーの運転手さんの体験です。タクシーの運転手さんはみんな同じような体験をしています。震災から約半年から1年が経ったある日、遅くに夏なのに冬服を着た人がタクシーに乗ってきます。そして皆タクシーの中か降りた先で幽霊のように消えてしまうのです。しかし、消えてしまってもタクシーの中で会話したり触れたりと、タクシーの運転手さんはこの世にいる人のように接することができています。私はこの体験談を読み、突然の震災で大切な方々から離れなくてはならなくなってしまった大勢の人がこの世にもう一度皆に会うために、お別れを言うために姿を現しているのかなと思いました。また、タクシーの運転手さんも身内を亡くしている方もいて怖がったりせずに身近にいる親しい人のように接していてとても心が温かくなりました。

 山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」は福島第一原子力発電所事故の後に原子力発電所に実際に潜入した著者の体験談でした。また、「福島第一原発」の作業員の方へのインタビューも紹介されていて現場の様子を詳しく知ることができました。私は作業員だった「佐藤功」さんへのインタビューが印象的でした。事故から3日目の14日佐藤さんは社長から「近くの火力発電所で仕事があるから急いでJヴィレッジに来てくれ」と頼まれます。しかし佐藤さんがJヴィレッジについたときに防護服を渡され原子力発電所の仕事で呼ばれたことに気づきました。佐藤さんは奥さんと娘さんがいたのでそんな危険な仕事はできないと断りましたが遠くからわざわざ来たので時給を聞いたところたったの1800円+100円の1900円のみでした。私はこのような現場の話を聞きとても危険な場所にこのようにして数日泊まり込みで働いている方がいることを改めて実感しました。現場で働いている方たちが一番大変な思いをしていることを上の人たちにも実感してもらいたいと思いました。

 安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」では、第3章の「東大文化と東大話法」に書いてあった東大原子力の中期計画が一番印象的でした。事故を起こらないように設計するから事故が起こる可能性があることを前提とした設計と対策が必要になってきます、と原子力御用学者さん等が言っていたそうですが、それはつまり「事故が怒らない設計は無理だとわかっていたので事故が起こっても仕方ない設計で許してね」と言っているのと変わらないと著者は言っていました。私はすごく無責任だなと感じました。原子力という危険なものだとわかっているものを(どうしても)利用するなら上の責任者がもっとしっかりしないとまた同じような悲惨な事故が起こってしまうと思いました。学問や大学の権威を背景に専門家として発言する際に、後から責任を問われないような話し方「話法」、それが「東大話法」なのだと知り、東大の専門家って一体なんなのだろう、と思いました。

 高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」は福島第一原子力発電所事故ではなくそれよりも前に起こった東海村の臨界事故について書いてありました。第3章の「放射能を知らない原子力屋さん」が印象的でした。この章には原子力をやっている人たちの多くがあまり放射能を知らないで原子力にかかわっていると書いてありました。私はとても驚きました。とても危険な物質に関わっている人の中にしっかりとした知識をあまり持っていない方がいるのは危ないと思いました。また関わっている方たちだけでなく私たちも原子力発電所の知識を身に着けて生活をしたいと思いました。

 長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」第一章の「なぜ原子力発電は止まらないのか」がとても興味深かったです。この本では沢山学ぶことがありましたがその中でも驚いたのは地下に非常用発電機を置いていたということです。この設置方法は竜巻などの多いアメリカをそのまま採用したそうです。しかし、日本は地震大国なので海側の地下に設置していたら使い物になりません。アメリカ側の仕様通りに作らないと安全を保障しないと言われたため同じように作ったそうです。アメリカを参考にするのは良いですが環境が全く違うので日本は日本で独自で事故や災害などの対策を取らないと駄目だと思いました。この本は私の副題にしていることなどがそのまま書いてありとてもよい参考文献でした。

83週目:7月12日~7月18日は次の本(計1,259ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・重松 清「その日のまえに」(文春文庫)P365
・知念 実希人「祈りのカルテ」(角川文庫)P272
・辻村 深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス文庫)P622

2021年7月4日日曜日

82週目:7月5日~7月11日のリーディングマラソン予定

前週、81週目;長田弘「長田弘詩集」、大谷美和子「ひかりの季節に」、広瀬隆、明石昇二郎「原発の闇を暴く」、ASIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」、山本義隆「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」の計1,088ージ、81週目までの累計は91,124ページです。

 長田弘「長田弘詩集」私は「花を持って、会いにゆく」という詩が一番印象的で気に入りました。初めの「春の日に、あなたに会いにゆく」や「きれいな水ときれいな花を手に持って」はさわやかな透き通った印象がしました。しかし、だんだんと「歩くことをやめてはじめて知ったことがある」から死の意味に気づいていき少し暗い印象になっていきます。
しかし「死ではなく、その人がじぶんのなかにのこしていったたしかな記憶を、私は信じる。」というように後半はそれでもあなたに会いに行くために再び歩き始めます。
この物語のような詩の流れがとてもすてきだと思いました。また今週読んだ「ひかりの季節に」と少し重なるところがありました。

 大谷美和子「ひかりの季節に」は人の生と死について深く考えられとても感動しました。主人公のみさきはとても仲の良かったいとこ・輝を19歳で亡くします。そんなみさきが心を開いて話せる相手は輝がくれたぬいぐるみのロバートだけでした。そんな心を閉ざしていたみさきですが奥さんを亡くした祖父に出会います。祖父の今までの人生の話を聞いているうちにみさきは明るさを取り戻していきます。長い人生を歩んできた大人なりの生き方と若い子供なりの生き方が生き生きと描かれていたとても良い物語でした。

 広瀬隆、明石昇二郎「原発の闇を暴く」すべて章に参考になることが書いてありましたが第一章の『今ここにある危機』の中に書いてあった「子供たちが被爆している」が印象深かったです。福島第一原発の30キロ圏内に住んでいた人々は大量の放射線に汚染されているにも関わらず事故直後放置されていました。この本には30キロ圏内にいた15歳以下の子供たち約950人に甲状腺の被爆線量を調べた結果がのっていました。「いずれも問題はありませんでした。と発表されましたが数値はどうあれ針が振れるのです」と書いてありました。数値は問題なくても普通検出されない物質が子供の体から検出されていることは恐ろしいと思いました。もし、30キロ圏内の人々をもっと早く非難させていたら被曝量はもっと抑えられるかもしれないとも思いました。子供たちが被曝してしまったのは人災だと思います。

 SIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」第3章『大震災後に広まったデマ・誤信』を詳しく読みました。第3章の一番初めに元東京電力に勤務していた平井憲夫さんが晩年に語った原子力発電所の実情について書いてありました。もともと平井さんは反原発の方ではありませんでしたが、講演録ではこう語っています。「毎日、被爆者を生み、大変な差別を作っているものでもある」また「原発の作業現場は暗くて暑いし、防護マスクもつけていてお互いに話をすることも出来ないような所ですから、身振り手振りなんです」とも書いてあり驚きました。そんなに環境の悪いところで毎日、危険な物質とともに仕事をしていたのです。私はビルの中の仕事のように明るい衛生的なところで作業している様子が頭の中にありました。しかし、実際は暗く話すことも出来ないようなところで作業していたのです。そんなところで毎日仕事をしているので30過ぎたら年間許容線量に達してしまう人も多く、若手を育てることも出来ません。現場で働いている方たちが身をもって一番原子力発電所の危険さに気づき大変な思いをしていることに理不尽さを感じました。

 山本義隆「福島の原発事故をめぐって―いくつか学び考えたこと」もすべて原子力発電所について研究していく中でとても参考になることばかり書いてありました。とくに第2章の『技術と労働の面からみて』で原子力発電所の未熟さや事故について詳しく知ることができました。私は以前から原子力の開発について知りたかったためこの本を読んでよかったと思いました。「核力のエネルギー実用化は1983年末から翌年にかけて中性子を照射されたウランの核分裂を物理学者が実験室で発見し、その再放出されるエネルギーの巨大さが理論的に評価され、しかも分裂に際して2個以上の中性子が発生することから連鎖反応の可能背が明らかにナットところから始まった」と書いてありました。私はこの約100年前に原子力について研究していた科学者の方はこの原子力発電所の危険性に気づいていたのかどうかがすごく気になりました。

82週目:7月5日~7月11日は次の本(計1,104ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・金菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」(新曜社)P200
・山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」(双葉社)P184
・安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」(明石書店)P276
・高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」(岩波新書)P188
・長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」(岩波新書)P256