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2020年8月30日日曜日

38週目:8月31日~9月6日のリーディングマラソン予定

前週、37週:吉岡斉「新版 原子力の社会史 - その日本的展開」、日隅一雄、木野龍逸「検証 福島原発事故・記者会見 - 東電・政府は何を隠したのか」、小出裕章「隠された原子力・核の真実 - 原子力の専門家が原発に反対するわけ」、新藤宗幸「原子力規制委員会 - 独立・中立という幻想」、福岡伸一「生命と食」の計1,048ページ、37週目までの累計は41,883ページです。

 吉岡斉「新版 原子力の社会史 - その日本的展開」は読むのが大変でした。私は、日本がどのような経緯で原子力を国のエネルギー源の一つとして取り入れてきたのかについて興味を持ったため、この本を選びました。日本で原爆研究が進められたのは1939年頃でした。戦時研究から進めていましたが戦争などがありしばらく中断します。戦後、1954 年頃から研究が徐々に復活していき試行錯誤を繰り返します。そして出来上がった原子力発電所は、1994年頃までには安定してきました。しかし、1995年頃から事故や事件が続発してきます。その頃から日本は様々な問題を解決するために政治的にも経済的にも低迷してきます。そんな中の2011年、福島原発事故が起きてしまいます。この本を読んで学んだことは2011年以前からたくさんの事故や事件が起きていたということです。なぜ、同じ過ちを繰り返さないようにしっかりと対策をしてこなかったのかとても不思議に思いました。これからも繰り返し読み直したいと思う一冊でした。

 日隅一雄、木野龍逸「検証 福島原発事故・記者会見 - 東電・政府は何を隠したのか」は、原発事故についての日本は国としてどのような対策をとってきたのか知りたかったため選びました。作業員の被ばく、汚染水など様々問題について議論されました。これは私も以前からしていましたが、責任者は「想定外だった」と言い続けたそうです。しかし、関連書にも述べられていましたが、以前からたくさん事故が起きていて地震の専門家なども事故の可能性について再三警告をしていたそうです。「想定外」とは予想ができなかったことを表す表現だと思います。しかし、専門家の方々は、前から想定をして警告していたのであればそれは想定外ではないと思いました。想定されていたにもかかわらず対策をしっかりやっていなかった責任者の罪だと思いました。

 小出裕章「隠される原子力・核の真実 - 原子力の専門家が原発に反対するわけ」は、原子力の持ている力について書かれていました。第一章の『被爆の影響と恐ろしさ』を読んで私はとても怖くなりました。1999年に茨城県東海村で事故が起きました。核分裂の連鎖反応が突然始まり作業に当たっていた3名の方が被ばくしました。放射線の被ばく量は吸収したエネルギー量で決まり『グレイ』という単位を使います。4グレイの被ばくを受けると半数の人が死に8グレイ以上被ばくするとほぼ100%亡くなると言われています。事故で被ばくした3名の方はそれぞれ18グレイ、10グレイ、3グレイでした。18,10グレイをうけた2名の方は大きな病院で骨髄移植あ皮膚移植など様々な治療を受けましたが、皮膚の再生能力が徐々に奪われていったそうです。毎日10リットルを超える輸血や輸液をしましたが、亡くなってしまいました。8グレイで絶望的なのに18グレイも受けてしまったら・・・と考えると恐ろしいです。改めて、人間がこんなにも危険なものを扱っていることを学びました。

 新藤宗幸「原子力規制委員会 - 独立・中立という幻想」は、2011年3月11日14時46分、マグニチュード9.0の巨大地震が東日本地域を襲い、それによって引き起こされた大津波による福島原発重大事故の後に生まれた原子力規制委員会とは一体どんな組織なのか、その歴史や成り立ちが書かれた本です。1955年の原子力三法の制定から3.11までの原子力行政がどのように変わってきたのか、原子力規制委員会の組織はどのように作られているのか、「独立性」や「中立性」はどのように考えるべきなのか、委員会の専門家による知識と結論で本当に私たちの暮らしの安全性を審査できるのか、与えられた「使命」を果たせる仕組みになっているのかなどが議論されています。
驚いたのは、原発事故が起こった時の政権は今とは違い旧民主党で、「自主避難者」への対応が「勝手に逃げた」ようなものであったり、せっかく準備していた放射線物質の飛散状況をモニターするSPEEDIの情報が十分に活用されなかったり、当時の枝野官房長官が、確かな科学的裏付けもないまま「直ちに人体に影響はない」と無責任に繰り返して言っていたり、その後の安倍政権は原発事故の深刻さや「3.11」はまるで存在しなかったかのように避難指示区域の指定をつぎつぎに解除して高い放射線量のまま住民に安心して暮らせると言ったり、そして世界に対しても、汚染水など原発事故の処理は「アンダーコントロール」と実際とはぜんぜん異なることを言ったりと、一体何がどうなっているのか、ということでした。それを後押ししているのが原子力規制委員会でもあるようなので、これからもっともっと調べていきたいです。

 
 福岡伸一「生命と食」は、「生物と無生物のあいだ」の著者の福岡さんが、あの本に書ききれなかった「生きることと食べることの本質的な意味」について書かれています。私たちは、何も食べないとお腹が空きます。生きるためには食べないといけません。なぜ、食べる?生きるため?では生きるとは一体どんな状態?という具合に食べることの意味を考えるには、生きることの意味を探る必要がある、というわけです。「自己複製」「動的平衡」「分子と分子、細胞と細胞の相補性」「エントロピー増大の法則」の話から、危ういバランスをとりながら進んでいるES細胞(万能細胞)のような先端科学の話まで小さな小冊子に大きな話がたくさん詰まっています。「生命から部分は取り出せない」「経済効率を求めた末の狂牛病という人災」「スーパーで並べられている食品を食べるまでのプロセスが見えなくなったことで食の安全が失われた」と言ったキーワードが頭の中をかけめぐっています。鴨長明の「ゆく河のながれは、絶えずして、しかももとの水にあらず」のように生命は、絶え間なく分解と合成を繰り返すダイナミズムの中にある、という言葉が心に響きました。食物は他の生物の身体の一部であり、その食べ物をとおして私たちは生き、環境と直接つながり、交換しあっている、だから、私たちの健康を考えるとは、環境のことを考えることなのだということがストンと頭に入ってきました。

38週目:8月31日~9月6日は次の本(計1,210ページ)でリーディングマラソンの予定です。原発に関する本は難しくて何度か読み直さないと一度読んだだけでは頭に入ってこないです。
・雨宮処凛「14歳からの原発問題」(河出書房出版)P237
・神保哲夫、宮台真司、他「地震と原発 今からの危機」(扶桑社)P254
・ASIOS、アンドリュー・ウォールナー「検証 大震災の予言・陰謀論 “震災文化人たち”の情報は正しいか」(文芸社)P256
・小出裕章「原発のウソ」(扶桑社新書)P182 *3回目の再読
・高木仁三郎「原子力神話からの解放-日本を滅ぼす9つの呪縛」(光文社)P281 *2回目の再読

2020年8月23日日曜日

37週目:8月24日~8月30日のリーディングマラソン予定

前週、36週:石井貴士「やってはいけない英語勉強法」、若松丈太郎、アーサー・ビナード「ひとのあかし」、新潮日本文学アルバム6「石川啄木」、長谷川英祐「面白くて眠れなくなる生物学」、盛山正仁 著、福岡伸一 監修「生物多様性100問」の計1,017ページ、36週目までの累計は40,835ページです。

 石井貴士「やってはいけない英語勉強法」は、英語の成績が良い人の勉強法とやってはいけない勉強法の2つが分かりやすく書いてありました。学ぶことがたくさんありました。その中でも「英語の勉強が好きでやる」のではなく「気が付いたら英語の勉強をしている」という心構えで臨むことが大切ということが心に残りました。全国模試で1番を取る人は、勉強を好き嫌いという次元を超えています。模試などで知らない問題がほとんどなく知らない問題が出ると「この出題者はやるなぁ」という感覚なんだそうです。私も英語に限らずいつの間にか問題を解いているという感覚を得られるようになりたいです。そのために、自分の好きなことを見つけて習慣にします!!

 若松丈太郎、アーサー・ビナード「ひとのあかし」は、東日本大震災によって被害を受けた福島県で作られた詩集です。この詩集の詩人である若松丈太郎さんは、東日本大震災の起きる18年前から福島の原子力発電所によって起きている被害を見通していました。1978年には原子力発電所から8キロほど離れたところに咲く花に斑点があらわれました。1980年にはホッキ貝からコバルト60を検出しました。同年1980年、小学校の校庭の空気からコバルト60が検出されました。1988年には、ある方の頭髪が一度の洗髪で茶碗一つ分抜けました。また、たびたび原子力発電の制御棒が脱落する事故がありました。このような事故を東京電力は、2007年になってようやく認めました。読んでいて胸が苦しくなりました。動物たちはだんだん戻ってきて生活をしていますが、そこに人間の声は一切聞こえないのです。また、生き物すら住めないところは生命の音がしません。同じ地球上に、日本にこのような土地があることがとても悲しく悔しいです。少しでも生物の暮らせる土地に戻ることをお祈りします。

 新潮日本文学アルバム6「石川啄木」は、石川啄木の生涯が写真つきでとても分かりやすく書かれていました。私は啄木の作品が好きですが、その生涯についてはあまり知りませんでした。知っていたのは若くして亡くなり、様々な苦労をしたということくらいです。啄木は中学生の頃までは首席で優等生でしたが高校に入ってから成績が少し落ちてしまったそうです。その後、母校で先生をしながら作品を書きます。高校の時につき合っていた女性と結婚をしますが啄木自身は女性にとてもモテるので浮気をしたり遊んだりしていました。そして、若くして病気で亡くなってしまいますが、私は啄木の作品は心に響くものがあると思います。生活が苦しい方や悩みを抱えている方の気持ちが伝わってきます。これから、石川啄木の他の作品を読んでみたいと思います。

 長谷川英祐「面白くて眠れなくなる生物学」の「面白くて眠れなくなる」シリーズはいくつかありますが、この本もとても面白かったです。生命の誕生からDNA、体の仕組み、それぞれの生物の特徴など幅広い分野について書かれていました。P179の『ヒトもミツバチも鬱になる』が面白かったです。「鬱」になる感情の動きが鈍麻し、特に喜びや嬉しさの感情や意欲が失われるため悲観的になり非常につらくなります。ザリガニ、ミツバチ、その他さまざまな生物も鬱になります。ミツバチにストレスを与え続けると、脳内神経伝達物質の分泌量が低下し悲観的になります。ザリガニもオス同士の戦いなどで負けたザリガニは、しばらく戦う意欲を失い悲観的になります。私は、とても面白く興味深く感じました。ほかにも人間と共通していることを調べて見たいです。

 盛山正仁 著、福岡伸一 監修「生物多様性100問」は、生物多様性について寄せられた100の質問と答えがまとめられた本でした。まず私は「生物多様性」という言葉の意味を知らなかったのでそこから学ぶことができました。生物多様性とは「生物の繋がりと個性」です。食物連鎖でのつながりや個体それぞれの特徴などが多様で、つり合いのとれた状態で維持されていることが重要です。この本には、生物多様性がなかったらどうなるかについてたくさん書いてありました。酸素やきれいな水が無くなるかもしれません。土砂崩れが起きてしまうかもしれません。ほかにも様々な問題が出てきます。バランスの取れたものから一つでもかけてしまうとバランスは崩れてしまいます。しかし、近年人間によってバランスが少し崩されそうになる時があります。生態系が崩れたら人間と地球の関係も崩れてしまいます。何事も人間中心ばかりに考えず、地球全体の生態系にやさしい生活をしていきたいです。

37週目:8月24日~8月30日は次の本(計1,048ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・吉岡斉「新版 原子力の社会史 - その日本的展開」(朝日新聞出版)P399
・日隅一雄、木野龍逸「検証 福島原発事故・記者会見 - 東電・政府は何を隠したのか」(岩波書店)P205
・小出裕章「隠された原子力・核の真実 - 原子力の専門家が原発に反対するわけ」(創史社)P157
・新藤宗幸「原子力規制委員会 - 独立・中立という幻想」(岩波新書)P225
・福岡伸一「生命と食」(岩波ブックレット)P62

2020年8月16日日曜日

36週目:8月17日~8月23日のリーディングマラソン予定

前週、35週:星 新一「声の網」、早見和真「ひゃくはち」、岩井恭平「サマーウォーズ」、井上ひさし「少年口伝隊一九四五」の計1,044ページ、35週目までの累計は39,818ページです。

 星 新一「声の網」は、私が星新一さんの本が好きなので読みました。私が今まで読んだ星新一さんの本は、小さな物語ごとの繋がりがあまりなかったです。しかし、この本のお話には繋がりがありました。すべてで12の短編が入っていて、その物語すべてに共通していることは「なんでもできる便利な電話網」です。この不思議な電話網の秘密が12の物語を通して明かされます。初めあらすじを読んだ時、「この電話はとても便利だからみんな喜んで使っているんだろう」と思っていました。しかし、この電話は突然聞き覚えのない声でかかってきます。また、誰にも知られていないはずのことを、突然言われるため電話がかかってきた側はとても不安になっていました。少しミステリアスで怖いお話ですが、ぜひ読んでみてください。もしこんな電話があったら怖いけれど、少しだけ利用してみたくなりました。またこの本の解説者が、先週読んだ『夜のピクニック』の作者恩田陸さんなのでそこも面白かったです!

 早見和真「ひゃくはち」の主人公は青野雅人です。青野雅人は仕事の関係で、東京本社から徳島分局に異動することになってしまいます。雅人には佐知子という彼女がいました。彼女は東京に住んでいます。彼女に異動のことを言うと、「付き合うずっと前、高校生の時に2人が出会っていた」という意外なことを打ち明けられます。雅人は甲子園の常連校、京浜高校の補欠野球部員でした。記憶をめぐるうちに、封印したはずの過去が甦ります。京浜高校野球部員同士のぶつかり合いや選抜メンバーからのはずし、練習の時の思い出などがたくさん詰まって書いてありました。今年は、新型コロナウイルスの影響で甲子園ができませんでした。しかし、出場が決まっていた高校だけ今、交流試合が行われています。今、甲子園の交流試合をやっているというのも、この本を選んだ理由の一つです。実際この本とは違うことが多いと思いますが、3年間いや、その前から毎日練習をして、甲子園を目指していることがよくわかりました。毎日練習していても選抜メンバーに選ばれないかもしれないし、選ばれたとしても、それまでに様々な試練や葛藤の中、甲子園に出場していることは本当にすごいことだと思います。補欠や選抜に選ばれなかった仲間の支えがあるからこそ強いチームになるのだとも思います。中学や高校の思い出は、貴重なものになると思うので大切にしたいです。これからも甲子園球児たちを心から応援したいです!

 岩井恭平「サマーウォーズ」の主人公は、小磯健二です。健二はあこがれの先輩篠原夏樹に「4日間だけフィアンセのふりして!」と頼まれ、長野の田舎に同行することになります。夏希の曾祖母を中心に親戚に囲まれながら大役を果たそうとする健二のもとに、謎の数列が届きます。数学が得意な健二は答えを夢中で導き出します。しかし、これは世界でたくさんの人が利用している「OZ」というゲームアプリの管理IDだったのです。翌朝OZは、高校生の犯人に乗っ取られていました。この危機を救うため暗号を解いた健二と夏希、そして親戚が立ち上がります。健二も何も知らないまま暗号をといてしまったので、その罪悪感と戦いながら解決していきいます。協力しながらやっていて、とても情熱的かつ優しさを感じる物語でした。また、わたし自身は、もっともっと数学を頑張ろうとも思いました。少しでも知識があれば将来困ったときに数学の知識が助けてくれると思ったからです!

 井上ひさし「少年口伝隊一九四五」は戦争のお話です。短いですがとても心にしみた本です。先日の8月15日は、日本の終戦日、敗戦日でした。そのため、この本を読んで戦争について考えようと思いました。この本の舞台はヒロシマです。広島の原爆についてのお話です。英彦、勝利、正夫の3人が主人公です。この3人は通っていた学校は違いますが、家が近かったため顔は知っていました。3人とも家族皆原爆で亡くなりました。一人では生きていけないため、3人は一緒にいることにします。ある日3人は、中国新聞の記者花江さんと再会します。口伝隊をやっているうちに家族の消息がつかめるかもしれない、と考えた3人は『少年口伝隊』として活動し始めます。短い期間でしたが様々な日本の情報を知ることができました。私がこの本を読んで初めて知ったことがあります。それは、この当時命を多くの犠牲者を出した自然災害です。『山津波』です。戦争に夢中になっていた人は近くにある山々の手入れを怠っていました。その上、山々の土が原爆の熱で焼かれてもろくなっていたため、大量の雨を注ぎ込まれてはげ落ちた山土が杉木もろとも町めがけて滑り落ちていきました。また、町に注ぎ込まれようとしていた水が押し戻されて川へ逆流したため町は泥水と化しました。これにより、2,012名の命が湖に沈んだそうです。その中の一人が勝利でした。混乱している中、山津波が起きたらひとたまりもありません。このことを知った時はこんなことがあったんだと驚きました。また、正夫はその2日後に英彦は15年後に原爆症で亡くなっています。今年で戦後75年が経ちました。私を含め実際に戦争を経験した方、生きた方たちが減ってきています。それでも、日本はこの戦争のことを忘れてはいけないと思います。特攻兵もそうですが、大切な命がこんなにたくさん亡くなったことはとても悲しくなります。私も積極的に講演や現地に行って忘れないようにしたいです。アメリカの方にも真実を知ってもらいたいです。また戦争は、日本以外の国で今も起きています。子でもが大勢亡くなっていることもあります。私たちが平和に暮らしている時に、同じ地球には爆弾におびえながら暮らしている方がいることを忘れないようにしたいです。早く戦争がなくなることを祈り、そのために何をしたらいいか考え、行動したいです。

36週目:8月17日~8月23日は次の本(計1,017ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・石井貴士「やってはいけない英語勉強法」(きずな出版)P225
・若松丈太郎、アーサー・ビナード「ひとのあかし」(清流出版)P137
・新潮日本文学アルバム6「石川啄木」(新潮社)P111
・長谷川英祐「面白くて眠れなくなる生物学」(PHP文庫)P225
・盛山正仁 著、福岡伸一監修「生物多様性100問」(木楽舎)P319

2020年8月9日日曜日

35週目:8月10日~8月16日のリーディングマラソン予定

前週、34週:益田ミリ「言えないコトバ」、恩田陸「夜のピクニック」、山田悠介「モニタールーム」、中 勘助「銀の匙」の計1,153ページ、34週目までの累計は38,774ページです。

 益田ミリ「言えないコトバ」は、芦田愛菜ちゃんが紹介をしていて面白そうだったので読んでみました。世間でよく耳にするけれど、気恥ずかしかったり抵抗があったりして自分ではうまく使えない、そんなコトバでの日常の体験談を書いたエッセイ本です。見開き1ページ文章で、次の1ページは漫画で構成されています。著者の言えないコトバのうち半分くらいは普段の生活の中で普通に使っていますが、残りは私も使えないというような言葉がありました。また、新しい言葉も学びました。「お水」のことを別の言い方で「お冷」ということ自体は知っていました。初めて知って驚いたのがお酒を飲む「バー」ではお水のことを「チェイサー」というそうです。「おあいそ」が「お会計」を表す言葉だったことも学びました。使い方によって分けている言葉もあります。自転車などがそうです。自転車を使うときは、チャリではなく自転車と言います。でも、自転車通学のことは、「チャリ通」といって自転車通学とは言わないです。普段何気なく使っている言葉でも意識してみると、とても面白かったです。また、場所によって同じことを表していても全く違う言葉を使うことも学びました。普段自分の使っている言葉について深く考えてみると新しい発見があるだと感じました。

 恩田陸「夜のピクニック」も芦田愛菜ちゃんが紹介していた本です。甲田貴子の通う北高には伝統行事があります。高校生活を最後を飾るイベント「歩行祭」です。それは、全校生徒が夜を徹して80キロ歩きとおすというものでした。甲田貴子は、3年間誰にも言えなかった秘密を清算するため、密かな誓いを胸に抱いて「歩行祭」にのぞんでいました。学校生活の思い出や卒業後の夢などたくさんのことを話しながら歩いていきます。貴子にはアメリカに行ってしまったクラスメイトがいました。そのクラスメイトのことで、貴子は色々話したくても話せないことがありました。この夜のピクニック中に今までの誤解が解けたり、最後の最後で意気投合して仲良くなったりと様々な出来事があります。物語の最後、アメリカにいるクラスメイトの弟が現れ、貴子の悩みがすべて解決します。この本を読んでいて私はこの「歩行祭」にとても憧れました。今までの思い出を語ったり将来について語ったり、とても楽しそうです。いつか私もやってみたいと思いました。

 山田悠介「モニタールーム」は、私の好きな作家さんである山田悠介さんの本です。今回の物語は、少しミステリアスだと感じました。主人公は「徳井」という大学を卒業したばかりの男性です。徳井は難病の妹の治療費を稼ぐためすぐに大金が必要でした。そんな時、「おいしい仕事」を見つけます。それは、刑務所の地下の地下にあるモニタールームで、いくつものモニタールームをただ見るという簡単なものでした。月収はなんと100万という破格の仕事です。徳井は不審に思いながらその仕事始めます。モニターをのぞき込んでみるとそこには、無数の地雷で隔離された地帯に住む少年少女の姿が映し出されていました。別のモニターには、中年の女性の姿が映し出されていました。無数の地雷地帯に囲まれた所で暮らしている少年3人と少女1人の4人は、生まれた時からここにいたため世の中のことを全く知りません。初めのうちは謎だらけでしたが、なぜこのようなことをされているか後半になって次第に明らかになっていきます。別のモニターに映っている中年の女の人は、過去に自分の恋人を殺した殺人犯です。この人に下された判決は、15年間地雷地帯にすむこの少年少女たちを見続けるということだったのです。またこの子供たちの一人の女の子は、中年の女性の子供だと嘘を伝えてありました。15歳に子供たちがなったとき、子供たち、自分たちの住んでいる地域とは全く違う世界を見ます。そしてそこに行けと言われます。あるはずのない、場所へ地雷地帯をわざととおらせていかせることが最後の刑でした。最後は、女の子だけ生き残ります。この本はとても短く、終わりは読者に続きを想像させるかのように曖昧なままで終わっています。この本を読みながら、地雷が埋められている地域に住んでいる子たちがこの地球上にいるんだ、物語の世界の話ではないんだと悲しい気持ちになりました。

 中 勘助「銀の匙」は、前から興味があったので読んでみました。舞台は明治時代の東京の下町です。病弱で人見知りで臆病な主人公を愛し、育ててくれた伯母を通して主人公が成長していくお話です。『銀の匙』という題名は、伯母との宝物が由来です。主人公は、伯母が自分のために特別に探し出してきてくれた珍しい形の銀の小匙を大切に書斎の本箱の中の小箱にしまっています。そこからきています。この本は、夏目漱石が絶賛している作品です。このお話になかなか入り込めなかった私ですが、読んでいて同じ年代に書かれた本よりは読みやすいと感じていました。大人でないと書けない内容ですが、子供が日々感じている言葉だけを使って書かれている本だから、とても私たちに響くものがあるんだろうと思いました。初めて読み理解が難しいところもあり、まだすべての内容を掴み切れていないのでもう一度読んでみたいと思いました。

35週目:8月10日~8月16日は次の本(計1,044ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・星 新一「声の網」(角川文庫)P270
・早見和真「ひゃくはち」(集英社文庫)P366 
・岩井恭平「サマーウォーズ」(角川文庫)P328
・井上ひさし「少年口伝隊一九四五」(講談社)P80

2020年8月2日日曜日

34週目:8月3日~8月9日のリーディングマラソン予定

前週、33週:山田悠介「ライヴ」、森下典子「日日是好日」、美輪明宏「ああ 正負の法則」、伊坂幸太郎「逆ソクラテス」の計1,061ページ、33週目までの累計は、37,621ページです。

 山田悠介「ライヴ」の主人公は大学生の直人です。物語の舞台は日本、そこでは感染すると必ず死に至るウイルスが流行していました。このウイルスを直すための薬は見つかっていません。直人の母親もこのウイルスに感染していました。

ある日、『未認可の特効薬が手に入った』という情報をネットで見つけます。そして、その薬を取りに行くため指定場所である区立スポーツセンターに足を運びます。感染者の家族の人々は、みんな平等に薬をもらえると思い集まっていました。しかし、薬の交換は謎の主催者によるトライアスロンレースの完走と引き換えだったのです。車いすの子や高齢者が何百キロもあるトライアスロンを完走できるわけありません。しかし、やらなければ薬は一生手に入らないのです。直人は挑戦することにしました。途中から、話になかった競技やガスなど命に関わる仕掛けも出てきます。私がこの本で好きな場面は、後半部分です。前半レースのスタート地点に向かうバスの中で、直人は2人の男女に出会います。一人は明るい同い年の男の人、もう一人はクールな女の人です。後半の部分は、この二人と再会し合流します。3人は助け合いながらゴールへと向かいます。この2人がいなかったら、直人の完走は難しかったと思います。3人のファインプレーがあったからこそ、薬を手に入れることができたんだと思います。直人の話だけをしましたが、トライアスロンに参加している選手の中には、薬を打ってお金持ちになろうとする人、自分の犯した犯罪によって親を苦しめてきたから親孝行がしたい犯罪者、その犯罪者を捕まえるために来た警察官・・・など様々な人が登場します。また、主催者がなぜこんな無意味なことをしたのかの理由も少し切なくなりました。

 森下典子「日日是好日」は、お茶、「茶道」についての物語でした。この本は映画にもなっています。私が一番心に残った言葉は、P61からの第3章『「今」に気持ちを集中すること』です。この場面では、「夏のお茶」と「冬のお茶」が出てきます。私もお茶をやったことがありますが、「夏のお茶」と「冬のお茶」ではお点前が全く異なります。一番大きく変わるのは「お釜の場所」です。夏は外に出ていますが、冬は炉という穴のようなところの中にあります。そのため、体の向きも違います。他にも使う道具や新しい道具が冬になると出てきます。主人公とミチコは、振出しに戻った気分で毎回お稽古を受けます。そして半年後、夏がやってきました。しかし、「夏のお茶」の方法を忘れてしまっているのです。また振り出しに戻った気持ちになってしまいました。そんな主人公たちに先生は「気持ちを切り替えて今、目の前にあることをしなさい。『今』に気持ちを集中するの」と言います。私も、この言葉を見習って過去にとらわれて、うじうじしているのではなく、気持ちを切り替えて何事も取り組みたいです。

 美輪明宏「ああ 正負の法則」は、父の本棚にあって以前から気になっていた本でした。第一章に『自分自身の〈正〉と〈負〉を知る』という章があります。顔が美しく整っていて、頭もよくて、何でもこなせる、いわゆる皆から完璧と言われ羨ましがられる人も、実はとても大きな欠点を抱えていたり、一見普通に見える人でも秀でた才能が有ったりと、人には必ず正(長所)と負(短所)があるということを具体例を用いてわかりやすく書いてありました。また、負が正に働くこともある、と書いてありました。私もどうして私はこうなんだろうと思うことがあります。どうしても、他人を羨ましく思ってしまう時があります。でも、あこがれの人を目標にしながらも自分自身の長所を伸ばしていきたいと思いました。目標にしている人も、誰だって短所があり、人知れず悩んでいることもあることを忘れないようにしたいです。また自分の長所を伸ばして増やしていきたいです。

 伊坂幸太郎「逆ソクラテス」は、父が強く薦めてくれた本でした。5つの物語が語られています。どれもとても面白かったです。その中でも私は、一番初めのお話『逆ソクラテス』が面白かったです。主人公が小学生だった時の場面と、大学生になった主人公が未来になって「その時」のことを先生や同級生と話す場面があります。主人公の加賀、気弱な性格の草壁、転校生の安斎、優等生の女の子、佐久間、先入観にとらわれている久留米先生が主な登場人物です。1話は、久留米先生の先入観を崩すために生徒たちが協力して立ち向かうお話です。久留米先生は、特定の生徒に対して先入観だけで判断をし、みんなの前でいじったりします。草壁は、成績は特別目立つほどではなく運動も苦手、おまけに気がとても弱い子です。これだけでも、草壁がからかわれる理由の一つなのですが、いじめを受ける上で大きな影響を与えているのは、久留米先生の草壁に対する態度や言動があります。例えば、草壁が薄いピンクのセーターを学校に来て来た時、久留米先生は「お前は女子みたいな恰好をしているな」というのです。それが原因で草壁はクラスのみんなから『クサ子』と呼ばれてしまいます。久留米先生は、勝手に人を決めつけることが多い先生、自分が常に正しい、と思い込んでいる先生なのです。この先生に自分の考えが本当に正しいのかと先入観を壊すために、安斎を中心に計画を考えます。物語の最後、完全ではありませんが少しだけ草壁のことを見直していたような気がします。この本を通して、全体的な偏見で物事を決めつけたりすることが世の中には、よくあるなと感じました。安斎のように、『僕(私)は、そうは、思わない』と意見を言える人間になりたいです。人それぞれ価値観が違うことを心にとめて発言や行動をしたいです。

34週目:8月3日~8月9日は次の本(計1,153ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・益田ミリ「言えないコトバ」(集英社文庫)P165 *芦田愛菜さんの推薦
・恩田陸「夜のピクニック」(新潮文庫)P455 *芦田愛菜さんの推薦
・山田悠介「モニタールーム」(角川文庫)P311
・中 勘助「銀の匙」(角川文庫)P222