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2021年7月11日日曜日

83週目:7月12日~7月18日のリーディングマラソン予定

前週、82週目;金菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」、山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」、安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」、高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」、長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」の計1,104ージ、82週目までの累計は92,228ページです。

 菱清(ゼミナール)編集「呼び覚まされる 霊性の震災学」は震災後に地元の方々が体験した不思議な体験談がたくさん紹介されていました。私が特に印象的だったのはタクシーの運転手さんの体験です。タクシーの運転手さんはみんな同じような体験をしています。震災から約半年から1年が経ったある日、遅くに夏なのに冬服を着た人がタクシーに乗ってきます。そして皆タクシーの中か降りた先で幽霊のように消えてしまうのです。しかし、消えてしまってもタクシーの中で会話したり触れたりと、タクシーの運転手さんはこの世にいる人のように接することができています。私はこの体験談を読み、突然の震災で大切な方々から離れなくてはならなくなってしまった大勢の人がこの世にもう一度皆に会うために、お別れを言うために姿を現しているのかなと思いました。また、タクシーの運転手さんも身内を亡くしている方もいて怖がったりせずに身近にいる親しい人のように接していてとても心が温かくなりました。

 山岡俊介「福島第一原発潜入記-高濃度汚染現場と作業員の真実」は福島第一原子力発電所事故の後に原子力発電所に実際に潜入した著者の体験談でした。また、「福島第一原発」の作業員の方へのインタビューも紹介されていて現場の様子を詳しく知ることができました。私は作業員だった「佐藤功」さんへのインタビューが印象的でした。事故から3日目の14日佐藤さんは社長から「近くの火力発電所で仕事があるから急いでJヴィレッジに来てくれ」と頼まれます。しかし佐藤さんがJヴィレッジについたときに防護服を渡され原子力発電所の仕事で呼ばれたことに気づきました。佐藤さんは奥さんと娘さんがいたのでそんな危険な仕事はできないと断りましたが遠くからわざわざ来たので時給を聞いたところたったの1800円+100円の1900円のみでした。私はこのような現場の話を聞きとても危険な場所にこのようにして数日泊まり込みで働いている方がいることを改めて実感しました。現場で働いている方たちが一番大変な思いをしていることを上の人たちにも実感してもらいたいと思いました。

 安冨 歩「原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語」では、第3章の「東大文化と東大話法」に書いてあった東大原子力の中期計画が一番印象的でした。事故を起こらないように設計するから事故が起こる可能性があることを前提とした設計と対策が必要になってきます、と原子力御用学者さん等が言っていたそうですが、それはつまり「事故が怒らない設計は無理だとわかっていたので事故が起こっても仕方ない設計で許してね」と言っているのと変わらないと著者は言っていました。私はすごく無責任だなと感じました。原子力という危険なものだとわかっているものを(どうしても)利用するなら上の責任者がもっとしっかりしないとまた同じような悲惨な事故が起こってしまうと思いました。学問や大学の権威を背景に専門家として発言する際に、後から責任を問われないような話し方「話法」、それが「東大話法」なのだと知り、東大の専門家って一体なんなのだろう、と思いました。

 高木仁三郎「原発事故はなぜくりかえすのか」は福島第一原子力発電所事故ではなくそれよりも前に起こった東海村の臨界事故について書いてありました。第3章の「放射能を知らない原子力屋さん」が印象的でした。この章には原子力をやっている人たちの多くがあまり放射能を知らないで原子力にかかわっていると書いてありました。私はとても驚きました。とても危険な物質に関わっている人の中にしっかりとした知識をあまり持っていない方がいるのは危ないと思いました。また関わっている方たちだけでなく私たちも原子力発電所の知識を身に着けて生活をしたいと思いました。

 長谷川公一 「脱原子力社会へ―電力をグリーン化する」第一章の「なぜ原子力発電は止まらないのか」がとても興味深かったです。この本では沢山学ぶことがありましたがその中でも驚いたのは地下に非常用発電機を置いていたということです。この設置方法は竜巻などの多いアメリカをそのまま採用したそうです。しかし、日本は地震大国なので海側の地下に設置していたら使い物になりません。アメリカ側の仕様通りに作らないと安全を保障しないと言われたため同じように作ったそうです。アメリカを参考にするのは良いですが環境が全く違うので日本は日本で独自で事故や災害などの対策を取らないと駄目だと思いました。この本は私の副題にしていることなどがそのまま書いてありとてもよい参考文献でした。

83週目:7月12日~7月18日は次の本(計1,259ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・重松 清「その日のまえに」(文春文庫)P365
・知念 実希人「祈りのカルテ」(角川文庫)P272
・辻村 深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス文庫)P622