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<ユニセフ・フレンドネーションのチャレンジ型プロジェクト>で募金活動をしています。詳細は、上の[リーディングマラソン for チルドレンのページ]をクリックしてください。

2021年8月29日日曜日

ユニセフ・フレンドネーション88週間100,000ページのチャレンジ

  中学1年生の2019年11月末、緒方貞子さんと中村哲さんの追悼ドキュメンタリーをきっかけにこのプロジェクトを始めました。私自身、口で言うだけでなく実際に何かできることをしたいと思いました。世界中には私と同世代の子どもたちが貧困問題に直面しています。プロジェクトを始めたときは「同じ世界を共有している私ちと同じ世代の子どもたち、彼女たちが日々の食べ物に困っている、その事実の中で今、ここで、自分に何ができるかを考えて行動したい」という気持ちでいっぱいでした。いろいろ調べている中で、ユニセフのフレンドネーションに出会いました。どんなチャレンジをしているのか見てみると、マラソンを実行して、それを皆さんに応援してもらう形のプロジェクトがいくつかありました。
 わたしの場合、平日は学校の寄宿舎で生活をしているのでマラソンを継続的にするような自由時間が限られています。やっぱり、自分には無理かな・・・と思いました。でも、そこであきらめず考えたのが、読書を走るマラソンのように続けてみるのはどうだろう、というアイデアです。読書、リーディングだったら、寄宿舎生活でも時間を見つけて続けられますし、支援しようと思う世界の子どもたちのことや社会のことをもっともっと知ることができると思いました。
 そして、88週間、616日、約1年半目標に向かって週に1,000ページずつコツコツと取り組んで100,000ページのリーディング・マラソンをゴールすることができて、喜びと達成感でいっぱいです。目標に達するまでは「本当に終わるのか」「はやく寄付したい」などの不安な気持ちも時々ありました。試験勉強やクラブ活動などの学校行事、寄宿舎での役割など忙しい時や体調を崩したときなどゴールまでの道のりで大変な時期もありました。日曜日に書き終えられず、月・火曜日までかかってしまうこともありましたが、最後まであきらめずに自分で立ち上げたプロジェクトをやりきったことで、努力すれば自分の成長にも自信にもつながることを実感することができました。毎週1,000ページの本を読み感想を書いたことで、今まで読んだことのないジャンルの本に出会え、文章を書くということに対しての自信が少しつきました。また、この活動を通して、直接目の前にいるわけではないけれど、世界のどこかで困っている子どもたちがいる、少しでも役に立てているかもしれない」と自分の行動に自信もつきました。最後までやりきることができ少しでも多くの子供たちの力になれたらなと思っています。
 日本は世界と比べると治安も衣食住も整っておりしっかりと生活できている人が多いです。私も不自由なく生活ができています。しかし、一歩外へ出ると、日本においても同世代の子が学校に行かずに働いていたり日々の生活に困っていたり、いじめに悩んでいたりしています。生まれたところが違うだけで貧しい生活を送っている子供たちがいる。このような理不尽な世の中で、何もしないのは、それは見て見ぬふりをしていることと変わらないのではないか、と私は思いました。
 私のチャレンジを応援、支援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。とても励みになりました。応援に応えることができてホッとしています。そして、ユニセフのみなさま、この機会を与えてくださったことに心から感謝いたします。いつか私もユニセフの仕事に関わり世界の子どもたちに直接会ってみたいです。
 チャレンジのきっかけとなった緒方貞子さん、中村哲さんは日本国内にとどまらず、貧しい暮らしをしている人々や、戦争などによい住む土地を追われている人たちのために一生を捧げました。私はまだ緒方貞子さんや中村哲さんのようなことはできませんが、想像力を働かせて今、ここで、自分ができることをコツコツと実行し、未来につなげていきたいです。

2021年8月22日日曜日

リーディングマラソン for チルドレン!

前週、88週目;菅谷 昭「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」、菅谷 昭「チェルノブイリ いのちの記録」、立石 雅昭、にいがた自治体研究所編 「原発再稼働と自治体ー民意が動かす『3つの検証』」、古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金「放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策」、高橋 毅「図解 次世代火力発電-環境性・経済性を両立する実用化への道」、福島原発事故独立検証委員会「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」、清水 修二「原発とは結局なんだったのかーいま福島で生きる意味」、茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 1」「茨木のり子集 言の葉 2」「茨木のり子集 言の葉 3」の計2,524ページ、88週目までの累計は100,779ページです。
 
 菅谷 昭「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」、1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原子力発電所事故により汚染された土地では小児甲状腺ガンが増えつづけていました。この本の著者である甲状腺専門医の菅谷昭医師は現地の状況を知り、ベラルーシで暮らしはじめます。そこで著者が出会ったのは放射能や病気へ不安を抱えながらも、自分の命を大切にして希望を胸に精一杯生きているこどもたちでした。一番の被害にあっているのは、一部の大人の事情で原子力発電所が作られ事故が起き住む場所を奪われた市民の未来を担う子供たちだと思います。それでも、弱音を吐かずに一生懸命生きている姿にとても感動しました。大人の勝手な事情によって子供たちの夢や希望を奪わないでほしいと強く思いました。

 菅谷 昭「チェルノブイリ いのちの記録」チェルノブイリ原発事故の放射線は甲状腺ガンという病気を近隣国のベラルーシの子どもたちにもたらします。著者の菅谷昭医師は被災地で約5年半にわたり医療支援を続けてきました。高汚染された土地、汚染された土地にある病院、手術、治安問題のなど病気以外の様々な問題にも直面します。現地へ行く日から帰国するまでの活動を記録した貴重な日記でした。過去の過ちから学ぶこと、それが、今を、そして未来を生きる人間が、その過ちによって犠牲になった人々に対してできることだと思います。そのためには「記録」が必要です。何があったのか、その時、人は何を考え、どう行動したのか。そこからしか出発できないように思います。そういう意味で、菅谷さんのチェルノブイリでの活動日記は、東日本大震災に伴う原発事故を経験し、今現在も、そして未来もその過ちに向き合わなければいけない私たちにとって貴重な記録だと思います。

 立石 雅昭、にいがた自治体研究所編 「原発再稼働と自治体ー民意が動かす『3つの検証』」は本の題名のように原子力発電所の再稼働に対して自治体がどのような対応をしたのかが図などを使って詳しく書いてありました。再稼働にも賛否両論がかなり分かれます。原子力発電所を早く再稼働させないとそこで働いていた従業員などが大変だ。という主張や東日本大震災を教訓に再稼働させるべきではないという主張など様々です。確かに、原子力発電所によってこれまでの生活が潤っていた人々にとっては苦しいところですが、事故がもたらす被害を考えたら再稼働するべきではないと思いました。そのためにも、原子力発電所に変わった電力で生活できるように、ほかの発電所を強化する必要があるとも考えました。

 古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金「放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策」はもし東海地震が起きたら…という設定で放射線と原子力発電所の危険性について説明していました。東海地震では首都圏にいる人が亡くなることはほとんどないというのが政府の予測です。しかし、それはあくまでも地震のみの場合です。静岡県にある浜岡原子力発電所(先日、現地を訪問しました)から放射線が漏れた場合、数時間から数日後までに首都圏の人は移住しなければならなくなります。浜岡原子力発電所から約200㎞風下に首都圏が位置しています。大きな事故は起きないと予測はしていてもそれを上回る被害が出ることも十分に考えられます。何が起こるのかは、その時にならないとわからないのです。そんな自然災害の多い日本に原子力発電所という一歩間違えると大事故になりかねないような危険なものを置いているのは、とても危ないことだと改めて感じました。

 高橋 毅「図解 次世代火力発電-環境性・経済性を両立する実用化への道」は原子力発電所に変わる発電所はないのかと思い手に取ってみました。火力発電にも石油・天然ガス・石炭といろいろ種類があります。石油のメリットは電気の需要の急な変化にも対応できることです。しかし、CO₂をたくさん出してしまうなどの問題があります。天然ガスは安定して電気を作ることができます。また、CO₂の出す量も少ないです。しかし、生産国が偏っているため価格などが大きく変動する恐れがあります。石炭は世界に広く分布しているため偏らず、大量の電気を安定して作ることができます。しかし、CO₂をたくさん出してしまったり、硫黄酸化物なども出してしまします。このように、メリットとデメリットはどんなものにでもあります。それを、それぞれの発電所が補っていくことも大切だと学びました。

 福島原発事故独立検証委員会「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」東日本大震災から約1年がたった2012年2月28日に「福島原発事故独立検証委員会」は独自に調査や検証を進めていた福島第一原子力発電所事故について「調査・検証報告書」を発表しました。作業員の方のプロローグ、事故被害の経緯、対応、分析など、とても詳しくまとめられてありました。独自に調査してきたからこそ「国民の視点からの検証」をすることができたんだと思います。私たちのあまり知らなかった当時の状況について理解することができました。

 清水 修二「原発とは結局なんだったのかーいま福島で生きる意味」福島は事故により自然や人の心が大きく傷ついています。3.11の事故の以前から原子力発電所に対して反対をし続けてきた福島の論客が、ボロボロになった地域社会や産業などひどい有様を訴えます。原子力発電所事故は取り返しのつかない被害や一生癒えることのない傷を負わせました。将来また人々や地域から未来を奪ってしまうようなことが二度と起こらないようにみんなで声を上げることが大切だと思いました。

 
 茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 1」私が一番好きな詩はP92かあの「私が一番きれいだったとき」です。この詩には「私が一番きれいだったとき」という明るいという表現が何度も出てきますが、そのあとには必ず戦争による悲しい表現が出てきます。
第7連の
「私が一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった」
などこの詩には戦争によって若いときに苦労した茨木さんの当時の悔しい気持ちが表現されていると思います。しかし、最後の連で
「だから決めた できれば長生きすることに」
という茨木さんの前向きな気持ちも表現されていました。「わたし」という誰にでも当てはまる表現をしていることから、茨木さんだけでなく同世代の人たちもこのような感情を戦後抱いていたのではないかと思いました

 茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 2」私が一番好きな詩はP94「友人」です。この詩は散文詩で書かれてありました。この詩には「友人に多くを期待しなかったら裏切られた!と叫ぶこともない」「たまに会って うっふっふと笑いあえたらそれで法外の喜び」という表現が出てきます。友人関係もめることは度々ありますが、程よい距離も大切だということを感じました。逆に、トラブルを通して仲が深まるときもあると思いました。浅い表面だけの友情ではなく深い友情を築きたいと思います。

 茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 3」私が一番好きな詩はP121の「草」です。初めの15連に草の付く熟語や漢字が32個書いてありました。草の付く文字を書き出してみると、日常の様子や疲れも見えたり見えなくなったりしてくるような感じがします。また、「草」は植物なので自然な感じや日本の文化も何となく感じることのできる言葉だなと思いました。

2021年8月15日日曜日

88週目:8月16日~8月22日のリーディングマラソン予定

前週、87週目;船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」、有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」、井上 靖「敦煌」、星 新一「妄想銀行」の計1,455ページ、87週目までの累計は98,255ページです。
 
 船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」。先週読んだ(上)の続きです。私が一番心に残った章は第21章です。この章の吉田所長のことばが印象的でした。初め吉田所長とともに働いていたのは約700人弱いました。私はこの人数の多さに驚きました。なんて勇気があるのだろう、と思います。3月15日、次々と爆発している福島第一原子力発電所を後に約650人が福島第二原子力発電所に避難します。この時吉田所長とともに現場に残ったのは約60人強。そして最後の最後まで危険な中を共に働いたのは約10人でした。現場にいた何人もの作業員たちはとても危険な中命がけで作業をしているのに、東京電力の上の人たちや政治家は、人の命よりもよりも原子力発電所を守ることを優先しました。3.11後も同じ東北地方や熊本などで大きな地震は何度も起こっているし、予測もされています。それにもかかわらず、原子力発電所をまだ使い続けています。早く原子力発電所に変わるエネルギーを作り私たちが節電を意識するようになってほしいです。

 有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」を読むまで私はCIAという組織についてあまり詳しく知りませでした。またこの本を読んで正力松太郎さんのすごさに驚かされました。戦後アメリカは膨大な軍事力を持ちました。そんなアメリカが日本を利用するのはたしかなことで当時日本のメディアの頂点にいた正力松太郎とは関係を深めていました。逆に正力松太郎はマイクロ派通信網構想を実現するべく総理の座を狙っていました。そこで自分のメディアの力を使いアメリカが主張をしている「原子力平和構想」をうまく利用して、国民や政界での支持を高めようとしていました。日本を利用していた大国アメリカを逆に利用していたということに驚きました。CIAも正力松太郎もどりらもお互いを利用しあっていたのです。この本で大人の駆け引きの様子を見てしまったような気持ちになりました。

 井上 靖「敦煌」は映画にもなった井上靖の名作です。舞台は1026の宋の時代です。主人公は進士の試験を受けるために湖南からやってきた行徳という男です。行徳は最終試験で寝てしまい落ち込んでいた時、罪を犯した女の肉が売られようとしているのを見つけます。とっさにその女を買い逃がしてあげました。その女から行徳はお礼に小さな布切れをもらいます。その布切れには、異様な形の文字のようなものが、十個ずつ三列にしたようなものが書かれてありました。女も読むことはできませんでしたが、この布切れがないと西夏は入れないのです。こうして行徳は西夏に向かいます。西夏に向かう途中もそのあとも行徳は戦乱の世に巻き込まれていきます…。20世紀になり西夏との戦いで滅んだ敦煌の万巻の経典が洞窟の中から見つかります。行徳は井上靖が考え出した架空の人物ですが、行徳のように戦乱から貴重な書物を守るために行動した人が当時もいたということがこの本を通して伝わりました。少し古いですが、映画も見たいです。

 星新一「妄想銀行」は短編集でした。私が一番面白いと思った物語はP19「あるスパイの物語」です。この物語の主人公エヌ氏はスパイです。エヌ氏はある日R国内に潜入しそこの同士に大至急書類を届けてほしいと言ってマイクロフィルムを渡しました。ここで上司が万が一落とさないようにとエヌ氏の腕にマイクロフィルムを入れ込む手術を、傷口にばんそうこうを張るくらいのノリで行ったことに笑ってしまいました。上司に合言葉は「気はたしかか?」「一進一退といったところですよ」と答えるように言われエヌ氏はR国へ向かいました。しかし、到着したと同時に捕まってしまいます。そこで、普通なら耐えられない程の取り調べを受けますが、エヌ氏は訓練をしているため一向に口を開きませんでした。するとそんなエヌ氏に「気はたしかか?」と相手は言います。それにつられエヌ氏は「一進一退といったところですよ」と反射的に答えてしまいます。実はこの取り調べをしている人たちが同士で、エヌ氏の口の堅さを試していたのです。いろいろ突っ込みどころがあって面白い物語でしたが、この話の流れが凄くスムーズかつわくわくさがあり星新一さんはすごいなと改めて感じました。

88週目:8月16日~8月22日は次の本(計2,524ページ)でリーディングマラソンの予定です。

・菅谷 昭「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」(ポプラ社)P127
・菅谷 昭「チェルノブイリ いのちの記録」(晶文社)P265
・立石 雅昭、にいがた自治体研究所編 「原発再稼働と自治体ー民意が動かす『3つの検証』(自治体研究社)P138
・古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金「放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策」(三五館)P127
・高橋 毅「図解 次世代火力発電-環境性・経済性を両立する実用化への道」(日刊工業新聞社)P180
・福島原発事故独立検証委員会「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)P412
・清水 修二「原発とは結局なんだったのかーいま福島で生きる意味」(東京新聞出版局)P224
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 1」(ちくま文庫)P397
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 2」(ちくま文庫)P407
・茨木 のり子「茨木のり子集 言の葉 3」(ちくま文庫)P247

2021年8月8日日曜日

87週目:8月9日~8月15日のリーディングマラソン予定

前週、86週目;上田 昌文「原子力と原発きほんのき」、吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」、うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」、田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」、山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」、後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」、西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」、ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」、池内 了「娘と話す 原発ってなに?」、船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」の計1,234ページ、86週目までの累計は96,800ページです。

 上田 昌文「原子力と原発きほんのき」は原発の仕組みや歴史などが分かりやすく簡単にまとめられた本でした。『P19:日本が目指す「核燃料サイクル」とは』日本は燃料であるウランを燃やしエネルギーを得て使用済み核燃料を保管するのではなく、使用済み核燃料からさらにまだ使えるウランや新たに出てきたプルトニウムを再利用するという少し変わった方法をとっています。〈日本は資源の少ない国でウランを100%輸入しているためエネルギーを目立たせたい。またプルトニウムは核物質なので平和利用を前提としている日本は他国から怪しまれてしまうため高速増殖炉の燃料として使っている〉これが政府の主張です。しかし、再利用できるプルトニウムは95~97%です。この数字を見ると多く感じるかもしれません。しかし残りの3から5%に視点を置いて考えてみると地球や生命に大きな悪影響を与えているということが分かりました。

 吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」では、初めに書いてあった「全原発が停止しても問題は何も起きなかった」が印象に残りました。2012年5月5日にすべての原発が停止しました。事故以降新聞やテレビなどで〈電気が足りない、このままでは日本経済は大変なことになる〉というキャンペーンが何度も繰り返されてきました。しかし大変な問題は起こりませんでした。この本には『一人一人が、そして一つ一つの企業が地道に節電に取り組めば、一歩間違えば取り返しのつかない危険な原発をあえて稼働させなくても、全く問題は生じない』ということが証明されたと書かれてありました。このことを心にとめて国民全員が意識して節電に取り組む必要があると思いました。

 うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」は、放射能の危険性を文章のような詩のような形式で表された本でした。原発で働いている人、その家族、地域の人、生き物たち…の嘆きの声がとても悲痛に描写されていて、放射線による暗い未来を鮮明に思い浮かんできました。

 
 
 田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」、この本の著者は東京新聞の特別報道部で働いている方です。当時の新聞記事やマスコミの様子などが細かく説明されてありました。現場にいた人しか感じられたいことがたくさん書いてありわかりやすかったです。

 
 
 山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」には福島第一原発事故当時の現場の様子が図などを使って細かく説明してありました。P41に小田実さんという作家の方の話が書かれてありました。小田さんは亡くなられる前に急に食べることができなくなりあっという間に亡くなられたそうです。診断は胃癌でしたが、おつれあいの玄順恵さんによると小田さんはビキニ核実験場やセミパラチンスクノ核実験の場にも何度も行かれたそうです。この放射能による外部被爆と内部被爆がすこしでも影響していると考えられます。このように、人体に大きな影響を与えなくても少量の物がのちのち害になるときもあるということを学びました。

 後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」の著者は元原子力プラント設計技術者の方です。実際に原子力発電所を設計していた人だからこその考えが書かれていました。著者はもともと船の技術者でしたが船の設計の仕事がなくなり、東芝が原子力部門の技術者を募集していたことから原子力に関わる仕事をすることになります。著者は最後に『最悪の事故が起こったら、被害の規模が今回よりももっとはるかに桁違いに大きくなるのは明らかです。早急に脱原発する必要がある』と言っています。原子力に関わる仕事をしていた人が身をもって原子力の危険さを実感しているのです。このような人たちの意見をしっかりと聞いて原子力に代わるものの準備をしていかないといけないと思いました。

 西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」では、この本を通して特定秘密保護法というものを改めて詳しく知りました。本の中にこの特定秘密保護法の原文や資料が沢山載っておりわかりやすかったです。ページ数は少ないですが原子力のことで今まで隠されてきたことなどもぎっしり書いてありました。また再読したいと思います。

 
 ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」の著者は2007年に『すべての「核」に対して「NO」というために』活動する非営利団体NO NUKES MORE HEARTS」を立ち上げたイラストレーターです。原発問題への関心が低い人にも目を向けてもらえるようなデザインのロゴマークやチラシを作ったそうですがなかなか広がりませんでした。そんな矢先、福島第一原発事故が起きてしまいました。しかし、この事故によって著者の考えていた反原発活動を行う人たちが急増したそうです。私もこの団体のことを初めて知りました。これから先、もっと広まっていってほしいと思います。

 池内 了「娘と話す 原発ってなに?」は先週読みとても分かりやすくとても面白かったので再度読み直しました。父親と娘が原発について質疑応答形式で会話しています。教科書のように図や表が載ってあり、下には難しい単語の意味が書いてありました。チェルノブイリの話が印象的でした。チェルノブイリから25年(現在は33年)経つのにまだ立ち入りの地域があります。そのチェルノブイリと同じくらい、それよりも大きな事故だった3.11。立ち入り地域が完全にな
くなるには何年かかるのか…。元通りの生活に一刻も早く近づけるように、何かできることはないか考えたいです。

 船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」は2011年3月11日当日に福島原子力発電所の現場で起きていたことをもとに書かれたドキュメントのような本でした。時刻まで細かく描かれておりドキドキハラハラがすごかったです。まだ上ですが、当時の深刻さ、現場の焦り、地震・津波のすさまじさが伝わってきました。下巻へと続きがどうなるのか読み始めると目が離せない本です。
 
 
 
87週目:8月9日~8月15日は次の本(計1,455ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 下」(文藝春秋)P528
・有馬 哲夫「原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史」(新潮新書)P255
・井上 靖「敦煌」(新潮文庫)P320
・星 新一「妄想銀行」(新潮文庫)P352

2021年8月1日日曜日

86週目:8月2日~8月8日のリーディングマラソン予定

前週、85週目;田口 理穂「市民がつくった電力会社―ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命」、池内 了「娘と話す 原発ってなに? 」、朝日新聞科学医療グループ「『震度6強』が原発を襲った」、立石雅昭「地震列島日本の原発―柏崎刈羽と福島事故の教訓 」、みんなのデータサイトマップ集編集チーム 「図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集: 2011年のあの時・いま・未来を知る 」の計1,036ージ、85週目までの累計は95,566ページです。

 田口 理穂「市民がつくった電力会社―イツ・シェーナウの草の根エネルギー革命」はドイツで起きた実話について書かれていました。3.11の東日本大震災後、ドイツでは何十万人もの市民が参加し反原発デモ起こります。このことにより、政府は2022年までに脱原発を決定しました。そこから市民は原子力に代わるシェーナウ電力会社を立ち上げます。この電力会社を立ち上げるまでの道のりがこの本には書かれてありました。私が一番惹かれた言葉はP111の「間違ったことには声を上げていく」です。市民が原子力の危険さを理解し声を上げて変えようとすること、そして自ら電力会社を立ち上げるという行動力に感心しました。これが「真の民主主義のかたち」だと思いました。日本は東日本大震災を経験して原子力の危険さを身をもって実感しているはずなのに、なぜ再稼働をし始めているのかがとても不思議になりました。

 池内 了「娘と話す 原発ってなに?」は、娘と父が質疑応答の形式で原子力発電所について説明しているように書いてありました。P119からの原発が抱えている問題点って?に書いてあった原子力発電所のメリットでした。それは原発による電気の値段が安いことです。私は「原子力発電所に変わる発電所をなぜ利用しないのか」と度々思っていました。その理由は原子力発電所が1番安いからだと知りました。危険性よりも金銭を優先してしまっていることにとても複雑な気持ちになりました。3.11などの事故を経験した日本は土地のこと人々のことを考えお金より安全性を優先するべきだと思いました。とても面白い内容だったので来週もう一度深く読み込みたいと思います。


 朝日新聞科学医療グループ「『震度6強』が原発を襲った」。私はこの本のタイトルを見たとき東日本大震災についての本だと思いました。しかし、2007年7月16日に起きた新潟中越沖地震と柏崎刈羽原発についての本でした。この地震直後原発では3号機の変圧器から火災が発生するなどひどい損傷を受けていました。この地震によって柏崎刈羽原発は壊れ停止します。「原子力発電所が壊れる」このことだけでもとても重大な事故だと私は思います。幸いなことに大量放射をして住めなくなるなどの重大なことにはならなかったですが、もし外に漏れていたら・・・と考えるととても恐ろしいです。このようなことがあったにも関わらず、そこから何も学ばず3.11でとてもひどい状態になってしまったということは人災だと思いました。


 立石雅昭「地震列島日本の原発―柏崎刈羽と福島事故の教訓 」も先程の本に出てきた柏崎刈羽原発と福島第一原子力発電所について書かれていました。柏崎刈羽原発の調査に訪れたIAEAは「プラントの安全系の構築物、系統、機器は強い地震動にもかかわらず、予想よりかなり良好じょうきょうにあるようでる」と報告しました。この報告に電力事業者や原子力安全・保安院などは「安全である」というお墨付きをもらったと喜びました。しかし、この報告では「どこに問題がありそこをどう対処するのか」などの細かいことが知らされていなかったため、また事故を起こす可能性は十分にあると思います。一度事故をしたのであれば徹底的に対策をすることが大切だと思います。


 みんなのデータサイトマップ集編集チーム 「図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集: 2011年のあの時・いま・未来を知る 」は原子力発電所のある都道府県別に地形の特徴・放射線による影響・生物への影響などなどが、社会の資料集のように図やグラフを使ってわかりやすくまとめられていました。県全体に少し放射線は漏れているのだろうなとは思っていましたが広範囲に放射線が多く採取されているという結果を見て驚きました。原子力発電所の事故が起きなくても、原子力発電所をその地域に設置するだけでそこの土地は徐々に汚染されてしまうことがとても怖いと感じました。

86週目:8月2日~8月8日は次の本(計1,234ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・上田 昌文「原子力と原発きほんのき」(クレヨンハウス)P64
・吉原 毅「城南信用金庫の『脱原発』宣言」(クレヨンハウス)P64
・うの さえこ「目を凝らしましょう。見えない放射能に。」(クレヨンハウス)P32
・田原 牧「新聞記者が本音で答える『原発事故とメディアへの疑問』」(クレヨンハウス)P64
・山口 幸夫「福島第一原発の『汚染水問題』は止まらない」(クレヨンハウス)P64
・後藤 政志「『原発をつくった』から言えること」(クレヨンハウス)P64
・西尾 漠「原子力発電は『秘密』でできている」(クレヨンハウス)P48
・ミサオ・レッドウルフ「直接行動の力『首相官邸前抗議』」(クレヨンハウス)P64
・池内 了「娘と話す 原発ってなに?」(現代企画室) P192
・船橋 洋一「カウントダウン・メルトダウン 上」(文藝春秋)P578