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2021年1月3日日曜日

56週目:1月4日~1月10日のリーディングマラソン予定

前週、55週目:磯田道史「無私の日本人」、村岡恵理「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」、辻村深月「盲目的な恋と友情」の計1,117ページ、55週目までの累計は62,415ページです。

 磯田道史「無私の日本人」は、「穀田屋十三郎」「中根東里」「大田垣蓮月」の3話が入っています。その中でも1話目が一番面白かったです。舞台は東北の奥州街道沿いの仙台藩吉岡宿です。吉岡宿の人々は、普通の農民のように年貢だけではなく、藩が街道を往来するときに「伝馬役」という荷物や人を運ぶための課役がにより負担がかかっていました。藩主伊達家も宿場町がなくなってしまうと困るため「伝馬御合力」という制度を作りましたが、吉岡宿は但木家の領民であって伊達の領民ではないため、殿様から支援がもらえないということで、吉岡宿には支払われることがありませんでした。そこで主人公の穀田屋十三郎はこのままでは吉岡宿がつぶれてしまうと思い菅原篤平治という茶師に相談します。菅原篤平治は吉岡宿で一番頭がいい人でした。菅原篤平治は「藩はお金に困っているため、まとまった金子を作りそれを藩に差し上げ、ご利息を頂く」という秘策を考えます。この『穀田屋十三郎』は『殿、利息でござる!』という映画にもなっています。ぜひ見てみたいです。また、ほかの2遍もすべて実在した人物がモデルになっています。あまり有名ではない無名の日本人にこんな方たちがいたことを知りとても興味深いと思いました。いろいろな本を探してもっと詳しく知りたいです。

 村岡恵理「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」は、モンゴメリの描いた赤毛のアンを翻訳した人の生涯を描いた本です。『花子とアン』というNHKの連続テレビ小説にもなりました。村岡花子さんの旧名は安中はなです。山梨県の甲府市で1893年に産まれました。元々、父親がクリスチャンで村岡花子さんも洗礼を受けます。村岡花子さんは小さい時から成績は優秀でした。その後、村岡花子さんは9歳で東洋英和女学院に入学します。家は貧しかったのですがクリスチャンのみ学費が免除される制度がありそれを利用して入学しました。ただしこの制度には今の奨学金のように奉仕活動の義務や、一定以上の成績を保つというような条件があります。ここでの生活がものすごく私はこの場面が一番印象的でした。初め村岡花子さんはアルファベットも読むことができませんでした。それに比べ周りの子は英語がペラペラでした。ここで10年間もの猛勉強をします。その後、村岡花子さんは柳原あき子さんに出会います。柳原あき子さんは名家・柳原家の次女でした。村岡花子さんはこの柳原あき子さんととても親しくなります。卒業後、村岡花子さんは『日本女性の過去、現在、将来』を卒業論文で書き称賛を受けます。その後、5年間山梨英和女学校の英語教師として勤務します。ここで、教師生活をしながら文芸雑誌に原稿を載せるなど活動の幅を広げていました。1919年の時、村岡敬三と恋に落ち結婚します。1921年、親友だった柳原あき子が社会運動家の宮崎龍介と駆け落ちをします。このことは世間に『白蓮事件』として知れ渡ります。しかし、村岡花子さんは柳原あき子さんの初めの結婚が政略によるものだと知っていたので、駆け落ちするほど好きな人ができたことに喜びを感じ10年ぶりに再会を果たします。しかし、1922年から悲しいことが続きます。まず、村岡敬三の父が亡くなります。1923年、関東大震災で村岡敬三の弟・村岡斎と水上家に養子に行っていた妹・雪子が亡くなります。また、水上家には村岡敬三の前妻との子・嘉男がおりその訃報も伝えられました。その3年後の1926年、夫・村岡敬三が当時はやっていた疫痢にかかり急死します。この続く不幸により村岡花子さんは、なかなか立ち直れなくなります。そんな村岡花子さんを支えたのは『マーク・トウェイン作 ザ・プリンス・アンド・ザ・ポーパー』です。これをきっかけに翻訳家になることを目指します。その後、婦人参政権獲得運動にお力を入れながら「子どもの時間」に出たり、歌人や小説家と親交を深めていきます。そんな中、花子の友達でカナダ婦人宣教師のミス・ショーが帰国します。このミス・ショーを通して村岡花子さんはモンゴメリ作の『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ』に出会います。そして戦争が終わった1945年頃翻訳版が完成します。ドラマで一度村岡花子さんの生涯をみて少し知ってはいましたが、この本を通して細かいところや様々な苦難があったことを学びました。たくさんの人の協力が合ってからこそ今この世の中に『赤毛のアン』という素晴らしい作品が知れ渡ったのだとかんじました。時間があればまたドラマ『花子とアン』も見返してみようと思います。

 辻村深月「盲目的な恋と友情」の主人公は一ノ瀬蘭花です。小さいころからバイオリンを習っていた一ノ瀬蘭花は大学生になってからもアマチュアのオーケストラに参加していました。指揮者の茂美星近は彼氏です。一ノ瀬蘭花の母親は元タカラジェンヌでその影響を受けてバイオリンをやっていました。中学・高校にオーケストラ部はなかったためずっとソロで弾いてきました。大学生になってからアマチュアオーケストラに入部し、大きなホールで演奏をし始めます。第一バイオリンの中で蘭花が仲良くなったのが傘沼留利絵でした。彼氏の茂美は実力派指揮者・室井稔の下で勉強をしていました。室井の渡航に付き合うこともありベルギーとの間を行ったり来たりしていました。しかし、茂美は室井の妻・奈々子と過ちを犯し仕事を干されてしまいます。働かなくなった茂美は蘭花のことを金銭的に頼るようになります。この様子を見た留利絵は別れるよう勧めますが、未練がある蘭化には聞き入れてもらえませんでした。また、茂美のスマフォの中に蘭花の盗撮動画がありばらされる危険もありました。それから間もなくして茂美が自宅の近くにある橋から転落しました。茂美自身が酔っていて現場の柵ももろくなっていました。この事件は『死にたい』というメモが見つかったことから自殺として処理されます。茂美が亡くなってから1年間病気を理由にして会社を休んでいた蘭花ですが気力を取り戻していきます。やがて1つ年下の乙田と親しくなり結婚をします。この結婚に留利絵も招待されます。そして友人代表としてスピーチを始めようとしたときふたりの刑事が会場内に入ってきました。じつは茂美は自殺ではなく事故(殺人)で死んでいたです。あの日、茂美にお金を要求された蘭花は茂美のことを突き飛ばしてしまいます。その後蘭花がパニックになり逃げだした後に茂美のスマホを留利絵は持ち去ります。秘密を守り抜く覚悟をしていた留利絵でしたが蘭花が親友よりも結婚を選択したため留利絵はスマホを警察に送り付け共犯者のして蘭花と一緒にいることを誓います。最後に留利絵がどんでん返しをしたことに驚きました。初め裏表紙のあらすじを読んだときは、蘭花が彼氏を親友に奪われたり騙されたりされるのかと思っていましたが、全く違いとても楽しくハラハラドキドキしながら読むことができました。

56週目:1月4日~1月10日は次の本(計1,283ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・辻村深月「島はぼくらと」(講談社文庫) P432
・辻村深月「光待つ場所へ」(講談社文庫)P432
・辻村深月「本日は大安なり」(角川文庫) P419