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2020年11月29日日曜日

51週目:11月30日~12月6日のリーディングマラソン予定

前週、50週目:葉室麟「蜩ノ記」、山本博文「こんなに変わった歴史教科書」、渡辺和子「面倒だからしよう」、山極寿一「『サル化』する人間社会」の計1,042ページ、50週目までの累計は56,540ページです。
 
 葉室麟「蜩ノ記」は、映画にもなった本です。豊後羽根藩士の壇野庄三郎は城内で刃傷沙汰を起こしてしまい、切腹の代わりに、家老・中根兵の命令で向村に幽閉されている元郡奉行の戸田秋谷の監視を命じられます。秋谷は7年前、先代藩主の側室と不義密通を犯したとされ、10年後の切腹を命じられており、あと3年でした。しかし、庄三郎は、自然豊かな村で人々から慕われる、清廉な秋谷と、姿を見ているうちに本当に秋谷が事件を犯したのかと疑問が生まれ何としてでも秋谷を切腹から救おうと事件の調査をし始めます。そして本当のことがわかりました。実際、秋谷は不義密通などは起こしてはおらず、家老・中根の絡んだお家騒動に巻き込まれていたのです。もともと、小役人だった中根は、家老の地位まで上り詰めるため、高利貸し店の播磨屋吉左衛門に協力してもらいその見返りとして播磨屋の娘をお美代の方に仕立てて先代藩主の側室にしていたのです。この事に気付いた先代藩主は寵愛していたもう一人の側室の子を世継ぎにしようとしましたが、お家騒動によってその側室の子は暗殺され、側室の方も命を狙われますが、その危機を救ったのが幼馴染であった秋谷だったのです。そして先代藩主は家譜の編纂を秋谷に託して死んでしまいます。ここで家老・中根は家譜の中に悪行の証拠が書かれていることを恐れ、真相を知る秋谷を亡き者にしたのでした。この本の最後は、悲しい結末でしたがとても感動しました。この事件は、村の民たちをも巻き込む大ごととなってしまいます。秋谷は、村民の人たちに危害が加わらないように自分の命と引き換えに一揆をおさめようとします。この本を読んで。私も秋谷のように、正しい道を人に流されずに自ら判断し他人のために自分を差し出せるような立派な人間になりたいです。この『蜩ノ記』の映画も一度見ましたが、忘れてしまったのでもう一度見返そうと思います。

 山本博文「こんなに変わった歴史教科書」はタイトルが面白そうだったので読んでみました。この本には、昔(約30年前)と今で変わった歴史のことなどが面白く書いてありました。私が驚いたのは、聖徳太子や足利尊氏、武田信玄などの肖像画がすべて別人のものだったということです。今までの、聖徳太子や武田信玄のイメージが覆されてとっても面白かったです。私の父母の習った用語と私の習った用語は意味が同じでも違う言い方をするものがあるということは学校の先生からの話など知っていましたが、この本を読み、具体的にたくさんの違いについて学ぶことができました。

 渡辺和子「面倒だからしよう」には、人間としてとても大切なことがたくさん書いてありました。一つ一つの言葉がすべて心に刺さったのですが、その中でも一番印象に残ったのはP19の『新しい気持ちで毎日の仕事に取り組む』です。このお話には「1回1回が仕始めで仕納め」「最初で唯一で最後」というふうに書いてありました。次があるからいいやではなく一つ一つの学びを大切に生活していきたいと思いました。他にもたくさんの心に響く言葉がわかりやすく書いてありました。これからも折を見てページを開いてシスター渡辺の言葉に触れていきたいです。

 山極寿一「『サル化』する人間社会」は霊長類研究、サル学の第一人者の本です。最近は、日本学術会議でもニュースで発言されています。この本は、ゴリラと人間の生活を比べて描いてあり、とても分かりやすく頭に入ってきやすかったです。筆者は、ゴリラ、サル、チンパンジーの群れ、集団での生活の方法について比較をして、人間とどう違うのかを考えます。人間の脳の発達と身体の成長のスピードの関係、熱帯雨林から離れたことで幼児死亡率が急増し、子どもをたくさん産む必要が生まれ、そのために離乳期を早め次の出産を準備するようになったこと。離乳させないといけないのに赤ちゃんはよく泣くし、よく笑う、だから母親だけでなく周りの大人の協力も得ながら共同保育をするようになり、家族が必然的に生まれ、更に複数の家族がコミュニティー、地域社会を形成していった。この「家族」と「地域」の両方をうまくやれるのが人間の特徴で他の霊長類にはないのだそうです。そのために重要なのが「共感力(コミュニケーション)」。でも、コミュニケーションの変化によって家族と地域が崩壊しつつあり、個人というものがどんどん前面に出て、自己実現、自己責任ということが問題になり、個人が様々なことに裸で接する時代になってしまいました。家族のフィルターもなく、共同体というフィルターもない。個人だけが様々な制度と向かい合って、社会がどんどん閉鎖的になっているというのが現代の状況。結果として「人間社会はサル化(どちらが強いか弱いか認知し行動)してきている」としています。そして、これからのIT社会、グローバル社会では、家族が集まったコミュニティーというものをしっかりと再建して「社会資本」を取り戻さなくてはいけないとしています。私たちの未来ってどうなるのだろう、と少し不安にもなりましたが、情報技術を賢く使いつつ、ネットワークを広げ、ITだけではなく身体や五感を使ったコミュニケーションを心がけたいと思いました。
 
51週目:11月23日~11月29日は次の本(計1,057ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・髙橋睦郎「百人一首 -恋する宮廷-」 (中公新書) P229
・齋藤孝『超訳こども「アドラーの言葉」』(KADOKAWA)P80
・伊坂幸太郎「フーガとユーガ」(実業之日本社)P284
・名古谷隆彦「質問する、問い返す―主体的に学ぶということ」 (岩波ジュニア新書) P224
・清水真砂子「大人になるっておもしろい?」 (岩波ジュニア新書) P240