自己紹介

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2020年4月12日日曜日

18週目:4月13日~4月19日のリーディングマラソン予定

前週:森 絵都「カラフル」、オリヴァー・サックス「タングステンおじさんー化学と過ごした私の少年時代」、エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」、誉田哲也「武士道エイティーン」の計1,183ページ、17週目までの累計は、18,978ページです。

 森 絵都「カラフル」の主人公は、生前犯した罪によって二度と生まれ変わることのできない魂になっていました。ところが、天使の業界の抽選に当たり、生まれ変わることのできるチャンスをつかみます。生まれ変わるには、いくつかの条件がありました。一つ目は、最近死んだ人の体に入り下界でもう一度ホームステイという形で生活をすること。二つ目は、下界でホームステイをしている間に、生前犯した罪を完璧に思い出すことです。ホームステイする体は生前の罪によって決められます。ホームステイをしている最中に抽選に当たったと報告した天使がガイドとして付き添います。主人公の天使は「プラプラ」という名前で、「小林真」という大量の薬を飲んで自殺した少年の体に入ります。ホームステイ先の家族構成は、母、父そして兄の4人家族です。はじめは家族みんな優しそうでほっとしていた主人公ですが、家族の本当の姿を知ることになっていきます。プラプラによると、父は、上司の犯した犯罪によって出世し喜んでいる、自分さえよければいいという人間、母はフラメンコ教室の先生と不倫をしていて、兄は弟の顔を見るたびに身長のことなどをからかって嫌味を言う性格の悪い人間、だったのです。小林真は学校でも内気で友達がほとんどいませんでした。しかし、一つ下の「桑原ひろか」という女の子だけは真に普通の人と同じように接してくれました。そんな「ひろか」は、「真」の初恋の人でもありました。プラプラは主人公に、真の自殺をする前の記録を見せます。「塾の帰りに、桑原寛果が中年の男と腕を組んで歩いているのを目撃した。二人はラブホテルに入っていった。また、同じホテルの出入り口から、真の母とフラメンコの先生が出てきた。その夜、真が家に帰ると兄が青ざめてテレビの前に立っていた。テレビについさっきまで、父親の会社が悪徳商法の容疑で社長と数人の重役が検挙されたと出ていたらしい。兄の満と真は、とても優しい父親のことだからとても落ち込んでいるだろうと思って心配している、と大事な上司が逮捕されたおかげで出世できたと喜んで帰ってきた」と記録には書いてありました。今までいろいろなことがあったけれど、そのことがショックで真は自殺をします。そのことを知ってから真の体に入った主人公は、家族に冷たい態度をとってしまうようになります。また、真は高校三年生ということもあり高校受験を控えていました。真の自殺未遂を知っているのは担任の沢田だけです。しかも、真の成績は、クラスで最下位ぐらいでした。主人公は悩みます。また、真が学校に復帰したときに話しかけてきた同じ美術部員の佐野唱子という女の子がいます。唱子は、真が変わったと仕切りに何をしていたのか聞いてきます。そんな唱子が主人公は苦手になってしまいます。そんなときも主人公は、ホームステイ先の家族になれず冷たい態度をとります。ある日、主人公は、家出まがいのことをし公園で横になっていると、数人の男に襲われ暴力を受け財布などを取られてしまいます。そこに駆け付けたのは兄の満でした。このことがきっかけで、真は家族の本当の気持ちを知ります。私はこの本を読んでいて最後のページのほうまで読み進んでいくうちに、この本の主人公の生前に犯した罪は何だったのか、両親との仲は元に戻るのか、この主人公のホームステイの期間は決まっているから、その時真の家族はどうなるのだろう、と様々な疑問が出てきました。真が両親と兄の本当の気持ちが分かった後に、プラプラがあと24時間で生前の罪を思い出さなければいけないと言います。真は、身近なものを頼りにしながら思い出そうとします。そして、佐野唱子と昔の真と今の真について話していた時に、生前の記憶を思い出します。私は、その結果にびっくりしました。またそういうことだったのか!と納得しました。また、両親が本当は悪い人ではないということに気づけたので本当に良かったと思いました。読後、じんわりと心に沁みてくる本でした。みなさんも是非読んでみてください。

 オリヴァー・サックス「タングステンおじさんー化学と過ごした私の少年時代」は、作者であるオリヴァー・サックスさんの少年時代のエッセイでした。本の大きさの割には字が小さくて少し難しかったです。初めのページのほうにオリヴァー・サックスさんの小さい頃の写真が載っていました。私が一番心に残った場面は、『15 家庭生活――身内の死と発狂した兄』です。目次でこの題名を見た時から内容がすごそうだと思いました。すごく心に残った場面はあまりにも衝撃で今の自分には具体的にイメージがつかめませんでした。それは、サックス少年にとってとてもかけがえのない存在になっていたバーディーおばさんが亡くなるシーンです。バーディーおばさんは、夜中によく急性心不全による心臓性喘息の発作を起こしていました。発作が起きると息が切れ症状を和らげるために半身を起こさないといけません。初めのうちは症状が軽かったものの、だんだん重くなりベッドの横にベルを置き少しでも苦しかったら鳴らすようになっていきました。ある日ベルが鳴りサックスさんの両親がバーディーおばさんのもとへ駆け寄ります。しかし、この日の発作はとても重く口から肺に水がたまり、おぼれかけている状態でした。酸素やモルヒネも聞かずサックスさんのお母さんは、バーディーおばさんの腕を切って瀉血を行いました。サックス少年が部屋に入ったときには、部屋が血で赤く染まっていました。このことは、サックス少年につらいしこりを残します。私は、人間は必ず大切な人とのつらい別れをしないといけない、でもそのつらさを乗り越えて人間が成長していくことをこの本を通じて改めて思いました。今回、内容を理解するのはまだまだ大変だったので、また改めて読みたいです。

 エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」は、日本語に翻訳することのできない世界の言語が絵とともに描いてありました。世界の言語では、一つの単語で表せるものが日本語では表せない。また、日本語では一つの単語で表せられるのに世界の言語では表せない。そのような言語がたくさんあることをこの本を読んで初めて知りました。とても面白いと思いました。一番面白いと思ったのは、マレー語のpisang zapra(ピサンザプラ)という言葉です。バナナを食べるときの所要時間を表しています。これは、人やバナナによって変わると思いますが、だいたい一般では2分くらいとされています。つまりマレー語では2分を表すときに、このバナナを食べるときの所要時間であるpisang zapra (ピサンザプラ)と言うのです。すごく面白いと思いました。一つの言語として表せると便利です。だけど、言い表せない感情などを様々な表現で表すのもいいことだと思いました。言語一つ一つにエピソードがあり勉強になりました。

 誉田哲也「武士道エイティーン」は、先週と、先々週に読んだ「武士道シックスティーン」「武士道セブンティーン」の最終巻です。「強さは力」という考えの積極的な香織と、「お気楽不動心」の早苗は高校が離れた後も、良きライバルであり続けていました。しかし、高校3年生になり卒業後の進路に不安を感じ始めます。この最終巻では、最後のインターハイとして決戦での対戦を目指す二人の姿が描かれていました。香織の所属する東松高校と早苗や黒岩伶那の所属する福岡南高校は決勝にコマを進めます。私が心に残った場面はやっぱり決闘のシーンでした。今回の心に残った決闘は、東松高校の磯山香織と福岡南高校の黒岩伶那です。この二人は、どちらも強くて私はどちらが勝つのかとてもドキドキしました。今回の決闘は、香織視点で書いてありました。決闘の中で一番心に残ったのが早苗との出会いや思い出が決闘中に回想として描かれていたところです。青春だなぁと思いました。香織は、3年前の大会で伶那に負けていました。そのおかげで、横浜市民秋季剣道大会に出場し早苗に出会います。香織と全く戦いに対しての考えが違う早苗は、香織に戦う意味とは何かということを教えてくれます。早苗は、香織がどんなつらい経験をした時もいつもそばにいてくれました。離れ離れになってからも早苗の存在は香織の中にあり続けました。香織は、そんな早苗に会う機会をくれた伶那に感謝しています。だからこそ、香織は、伶那に勝とうとします。結果は香織の勝ちでした。しかしどちらも悔いが残っておらず、お互いがこの勝負をやってよかったと思っていることが素晴らしいなと思いました。また、この本を一から読み直したいです。

 4月13日~4月19日は次の本(計1,036ページ)でリーディングマラソンの予定です。
・堀本裕樹「俳句の図書館」(角川文庫)P215
・有川浩「図書館戦争ー図書館戦争シリーズ1」(角川文庫)P398
・ヴィクトルト・リプチンスキ 春日井晶子 訳「ねじとねじ回しーこの千年で最高の発明をめぐる物語」(早川書房)P191
・土屋健「古生物たちのふしぎな世界」(講談社ブルーバックス)P232